ロシア国防省は21日、ウクライナに隣接するロシア軍の南部軍管区で、「非戦略核兵器」の演習を始めたと発表した。ウクライナ侵攻での使用が懸念され、ベラルーシにも昨年配備された、戦略核よりも射程や爆発力で劣る戦術核兵器を誇示し、ウクライナへの軍事支援を続ける米欧を牽制(けんせい)する狙いがある。

 同省によると、始まったのは演習の第1段階。軍最高司令官であるプーチン大統領の指示だとしている。

 弾道ミサイル「イスカンデル」や極超音速ミサイル「キンジャル」などに「特殊弾頭」を搭載。ミサイル搭載車両を発射に備えて指定場所に移動させ、爆撃機などの出撃準備をしたという。

 演習の目的は「米欧の政府高官によるロシアへの挑発的な発言や脅しに対抗し、ロシアの領土保全と主権を維持するためだ」と主張している。

 ウクライナへの地上軍派遣の可能性に言及したマクロン仏大統領や、英国が供与した武器によるウクライナのロシア領への攻撃容認を示唆したキャメロン英外相の発言などが念頭にある。

 プーチン氏は9日、対独戦勝記念日の軍事パレードでの演説で、核戦力が「常に臨戦態勢にある」と強調。ロシア国防省は6日、非戦略核兵器の演習準備を南部軍管区で始めたと発表していた。