今年度、長野県内の企業の7割近くが、基本給を底上げするベースアップを含む賃金改善を見込んでいることが、帝国データバンク長野支店の調査で分かった。前年比で改善を見込むとする企業の割合は3年連続で増え、調査を始めた2006年度以降で最高を更新した。賃金改善がないと答えた企業は初めて1割を下回り、過去最低となった。

 調査は県内619社を対象に1月に実施し、283社から得た回答を分析した。

 正社員の賃金改善が「ある」と見込む企業は、前年より6・3ポイント増え67・5%だった。この数字は、全国平均(59・7%)を7・8ポイント上回り、都道府県別では5番目の高水準。

 賃金改善が「ない」企業は9・9%、「分からない」企業は22・6%と、いずれも前年を下回っている。

 賃金改善の内容を見ると、ベースアップを考える企業の割合は63・3%と、初めて6割を上回った。全国平均(53・6%)を10ポイント近く上回っており、都道府県別では4番目に高い。賞与(一時金)は、同0・8ポイント増の29・0%だった。

 賃金改善があるとする企業にその理由(複数回答)をたずねると、「労働力の定着・確保」のためと答えた企業が最多の83・8%。「従業員の生活を支えるため」が64・9%。「物価動向」が55・0%だった。

 規模別で見ると、従業員6人以上の企業では、50・0〜80・0%が賃金改善を予定しているが、5人以下の企業だと半数に満たず、改善しないとする企業の割合も24・5%と突出して高かった。同社は「今後の景気回復のためには、賃上げの動きが小・零細企業に広がるかどうかがカギを握る」とみている。(沢田歩)