佐賀県唐津市に造成された工業団地「新産業集積エリア唐津」に、高強度ボルト製造大手の佐賀鉄工所(佐賀市)の進出が決まった。1938年の創業以来使い続けてきた佐賀工場を移転し、新製品の生産拠点を設ける。

 この工業団地は、2011年1月に分譲を始めたものの進出企業がなく、「塩漬け」状態が続いていた。23日に会見した峰達郎・唐津市長は「13年越しの悲願だった」と喜びを語った。

 佐賀鉄工所は自動車のエンジン回りにも使われる強度の高いボルトを製造。米国、中国など海外にも製造拠点を置く。

 今回購入する土地は11.1ヘクタール。佐賀工場の敷地の3倍で、自動車のEV化に対応する新工場(延べ床面積約3ヘクタール)を平屋で建設する予定。25年8月に着工、27年4月に操業を始める。投資額は約75億円。

 山口祥義知事は23日、「自動車用高強度ボルトのトップメーカーの進出が決定した。グローバルに展開した企業が、将来の成長基盤を担う拠点に佐賀を選んだことは大変誇らしい。県も共に成長すべく後押ししていく」とコメントした。

 「新産業集積エリア」は、唐津、鳥栖、武雄、有田の計4カ所あり、県が市町と共同で造成してきた。武雄は完売し、鳥栖の約27ヘクタールにはアサヒビールの博多工場移転が決まっている。

 唐津の残り約19ヘクタールと、有田の約21ヘクタールは、用地取得は終わったが、まだ造成されていない。(渕沢貴子、森田博志)