石炭の街の輸送を支えてきた福岡県大牟田市の白石自動車が、三井三池炭鉱の歴史を地元の観光事業に生かそうと、三井三池炭鉱の石炭運搬で活躍した「炭鉱電車」の展示場を整備した。同市北磯町にオープンさせたパビリオン「炭鉱電車ステーションゼロ」で20日から公開する。

 4〜6月は毎月第3土日の午前10時〜午後4時に公開する予定。

 炭鉱電車は1997年の炭鉱閉山後、三井化学大牟田工場が原料を運ぶために走らせていたが、20年に役目を終えた。白石自動車が2両を譲り受け、1年半かけ機関庫やギャラリー棟を整備した。

 展示場では、約50メートルの線路を敷き、元国鉄の保線用モーターカーと炭鉱電車を連結して動く様子も見学できる。

 白石政嗣社長(70)は「地域の企業として子どもたちが誇りに思えるパビリオンにしたい。大牟田の観光の宝として行政とも協力したい。この施設を末永く守っていきたい」と話した。同社はホテルなど観光事業にも進出する予定だ。

 モーターカーを所有し炭鉱電車の走行を担当する、鉄道模型製造販売のワンマイル(筑紫野市)の手嶋康人社長(44)は「炭鉱電車は古いけど手が行き届いた工芸品のよう。産業遺産観光を多くの人が楽しんでいるヨーロッパからも観光客を呼べると思う」と話す。

 三井三池の炭鉱電車の展示は熊本県荒尾市の万田坑、大牟田市の三川坑についで3カ所目となる。ギャラリー棟には、NPO法人炭鉱電車保存会が所有する資料やパネル写真が展示されている。

 完成記念式典には約80人が出席。テープカットとくす玉を割って完成を祝った。出席者は動く炭鉱電車の様子に驚きの声を上げたり、ギャラリーで資料を懐かしそうに見入ったりしていた。

 いまのところ入場料などは未定。問い合わせは白石自動車(0944・52・3366)へ。(西田慎介)