高知市が運営するシェアサイクルが、3月で事業開始から1年を迎えた。利用回数は想定を超えたものの、見込んだ収益額には届かなかった。今後のサービス拡充には利用料収入の増加が鍵となるため、市はてこ入れ策に乗り出す。

 シェアサイクル「PiPPA(ピッパ)」は2023年3月、20台の自転車でサービスを始めた。中央公園など3カ所だった専用駐輪場(ポート)は5カ所となり、自転車も30台に増えた。

 市商業振興・外商支援課によると、2月末までの利用回数は4992回。夏から秋にかけての利用が多く、9月は577回利用された。回転率(1台・1日あたりの利用台数)は0・48で、初年度の目標(0・3)を大幅に上回った。

 ポート別では、JR高知駅前が全体の34%を占めて最多。駅南口の利用しやすい場所にポートが設置され、観光客が利用しやすかったと同課は分析している。

 ただ、初年度約145万円としていた想定収益は、実際には128万円にとどまった。背景には、開始時は利用が多いとみていた中心市街地での「ちょい乗り」が伸び悩んだことがある。

 PiPPAは、110円で30分利用できるが、6時間や24時間など長時間の場合は割安となり、「ちょい乗り」が多いほど収益が増える。搭載したGPSのデータでは桂浜や牧野植物園など遠方の観光地への移動にも使われていた。

 収益の7割は市の収入となる契約のため、市は中心部のホテル前などに小規模なポートを新設し、観光客の「ちょい乗り」利用を増やすことで収益増につなげたいという。

 同課の曽我部恭佑さんは「ポートを増やして利便性を高め、中心市街地での移動手段として認知を高めたい」と話す。(羽賀和紀)