森林が持続可能な状態で管理されていることを第三者機関が証明する仕組み「SGEC認証」(森林管理認証)を受けている群馬県内唯一の生産者が、沼田市、川場村、昭和村、みなかみ町をエリアとする利根沼田森林組合(組合長=外山京太郎・川場村長)だ。次世代に良好な森林を残そうと取り組んでいる。

 SGECは2003年に日本で始まったが、スイスのジュネーブに本部を置く国際森林認証制度「PEFC」に加盟。16年に相互承認を受けるようになり、国際基準を満たすものとなった。森林自体に対する認証と、加工・流通過程に対する認証がある。認証を得るには多数の指標による審査を受けなければならず、有効期間は5年。そのうえ毎年定期審査があるという厳しいものだ。

 組合は、民有林約2万7700ヘクタールのうち、約4千ヘクタールについて17年に認証を受けた。佐藤博久専務によると、それまでは製品にならないような端材は山にそのまま残していたが、バイオマス発電用のチップ材に利用。環境教育の場にすることも重要で、昨年度は小中高校生やコープぐんまの組合員ら500人近くが見学にきた。認証された森林のスギは、昨年10月に完成した川場村の新庁舎に使われた。

 認証材でなくても加工して木製品にすれば樹木が取り込んだ二酸化炭素が製品中に固定されるため、近年は従来チップにしていた広葉樹の木製品化にも力を入れ始めた。フローリング材やテーブルなどの家具・建築用材、楽器の用材といった具合に幅広い用途で活用されている。

 組合の木材生産量は22年度で約1万8千立方メートル。10年で倍以上に伸びた。ただ、人工林の9割が利用期(40年生)を超えている。こうした成熟した森林を活用することが持続可能な森林作りに求められるため、今後は森林経営プランナーを育成し、販路を増やしていく考えだ。

 佐藤さんは「資源の活用と生態系の保護のバランスを保ちながら健全な森林を次の世代に継承していきたい」と話している。(大塚晶)