現存する日本最古の学校で、文化庁が「近世日本の教育遺産群」として日本遺産に認定する栃木県足利市の「足利学校」。県を代表する観光地だが、そもそも日本遺産は知名度が高くなく、一般への浸透が課題だった。関係組織は教育遺産群を広く知ってもらうため、組織の活動を手伝ったり、PRを手助けしたりするサポーターの募集を4月から始めた。

 組織は、近世の学校や私塾などの教育遺産を世界遺産にしようと活動する「教育遺産世界遺産登録推進協議会」。2012年に足利市と藩校「弘道館」がある水戸市、私塾「咸宜(かんぎ)園」がある大分県日田市が発足させ、その後、「閑谷(しずたに)学校」がある岡山県備前市が加わった。

 文化庁は15年4月、これら4市の施設を教育遺産群として、地域の文化財を歴史や伝承などのストーリーとしてまとめる日本遺産に認定した。

 4市はこれまで、研究や普及・啓発活動を進めてきた。ただ、地域との関わりが課題だった。21年の認定継続審査の際には、地域で活躍する人たちとの連携も含めた活動体制の強化を掲げたものの、23年11月の協議会主催の国際シンポジウムでは、地域コミュニティーとの関係の重要性を指摘された。そこで、地元を中心に教育遺産群の理解者を増やすためにサポーターを募ることにした。

 サポーターの活動は、学習会などに参加して知識や理解を深め、協議会開催の講演会やシンポジウムなどで運営をサポートするほか、SNSなどを使って遺産群の魅力発信を後押しするというものだ。

 足利市の担当者は「教育遺産を知らない人も多い。近世の学びはどうやっていたのかを理解してもらい、協議会の活動も知ってもらいたい」と話す。サポーターは年会費無料。申し込みはQRコードや市ホームページからか、市文化課に登録申込書を提出する。問い合わせは同課(0284・20・2230)。(上嶋紀雄)