4月に始まった、同性同士など法律婚の認められないカップルを公的に認める「奈良県パートナーシップ制度」の申請第1号となるカップルが24日、誕生した。

 ともに奈良市在住で30代の会社員女性の白鷺(しらさぎ)さんと望月さん(ともに仮名)。5年前から一緒に暮らしてきた。住居の購入を検討しており、ローンの審査を受けるにあたって申請を決めた。住民票と戸籍謄本を用意するだけで、スムーズに申し込みできたという。

 2人は名字を同じにしたい考えだ。そのために養子縁組するカップルもいるが、「今後、同性婚が認められるかもしれない。現時点では様子見せざるを得ない」と白鷺さん。県のパートナーシップ制度については、「選択肢が増えたことを喜びたいが、同性婚が認められればとの思いは強い」とも話す。

 2人の関係は、限られた人にしか明かしていない。「伝えたことで見る目が変わったら怖い」。望月さんはそう打ち明ける。

 性的少数者のカップルについて、2人は「特別な権利を主張したいわけではない。一緒にいたい人といる、というだけ」「周囲が利用できる制度を、同じように利用できれば」と話す。

 パートナーシップ制度は県内では6市町が導入済みだが、県の制度導入により全域に広がった。同居していなくても、2人のどちらかが県内在住であれば申請できる。県人権施策課の担当者は「まだまだ認知度が低いようだ」という。

 制度の概要や手続きの手引は、県のウェブサイトに掲載されている。(机美鈴)