ガラスの器で知られる北欧生まれの世界的ブランド「イッタラ」の製品や歴史を紹介する「イッタラ展 フィンランドガラスのきらめき」(朝日新聞社など主催)が高知市高須の高知県立美術館で開かれている。日本初の巡回展で、450点以上を展示している。

 フィンランド南部のイッタラ村にガラス工場が設立されたのは1881年。以来、様々なデザインの製品を世に送り出してきた。なかでも有名なのは、上から見ると水たまりのようなかたちをした花器(ベース)だ。

 建築家アルヴァ・アアルトが1936年に提案したデザインで、「アアルト・ベース」と呼ばれる。制作に使われた木型やスチール型も会場に展示し、職人が型にガラスを吹き込む様子を撮影した動画も上映している。

 このほか、展覧会では140年以上続くイッタラの歴史に沿ってガラス製品などを陳列。著名なデザイナーたちとその代表作も紹介する。

 個性的ながらもシンプルなデザインの製品が多い印象だが、オイバ・トイッカがデザインした「バード」シリーズは、その名の通り、鳥がモチーフだ。カラフルで装飾性が高く、イッタラの多様性を示している。

 開幕した4月14日に会場を訪れた高知市の女性(62)は、20年来のイッタラ・ファン。「わたしが使っている製品も展示されていて、うれしかった。ミュージアムショップも楽しみ」と話していた。

 イッタラ展は東京、島根、長崎、新潟、京都と巡ってきたが、会場限定グッズにも注目が集まる。「バード」シリーズをかたどったマグネット(1個税込み770円)などが人気だという。

 学芸員の長山美緒さんは「イッタラが初めての方には、『これで日本酒を飲んだらおいしそうだな』など、自身のライフスタイルに沿って見ていただければ。展示品は自由に撮影できるので、SNSなどで紹介してください」と語る。

 6月16日まで(会期中無休)。午前9時〜午後5時(入場は午後4時半まで)。観覧料は一般当日1200円、大学生850円、高校生以下無料。問い合わせは同美術館(088・866・8000)。(竹田真志夫)