この画像は、降着円盤をともなったブラックホールがどのように見えるのかを、NASA(アメリカ航空宇宙局)がシミュレートして可視化した映像の一部です。

たとえば連星系の一方の星がブラックホールになった場合、もう一方の星(伴星)からガスが引っ張られて、ブラックホールのまわりに「降着円盤」と呼ばれるガス円盤ができます。上の画像は、そのような降着円盤をともなったブラックホールが、円盤の側面方向から見たときにどのように見えるのかをシミュレートしたものです。ブラックホールの極端に強い重力によって、降着円盤のさまざまな領域から出た光が曲がり、見えそうもないところまで見えています。

視点を移動してみると……

こちらは映像です。映像は降着円盤を真横からみた状態からスタートし、途中から視点が円盤の上方向に移動して1回転します。

降着円盤を真横からみると、向かって右側よりも左側の方が明るく見えています。円盤は上から見て反時計回りに回っており、左側では輝くガスが非常に速い速度で手前に移動しているため、ドップラー効果の影響によって明るさが増しています。視点が円盤の真上または真下にある場合は、ガスが近づいたり遠ざかったりしないため、そのような効果はあらわれません。

降着円盤を真横から見た場合にはまた、ブラックホールの向こう側にある降着円盤の上面がブラックホールの上に、下面がブラックホールの下に回り込むようにして見えています。

中央の暗い部分にある細いリング状のラインは「光子リング」と呼ばれるものです。ブラックホールに非常に近く重力による光の曲がり方が大きいために、ブラックホールを2〜3回、あるいはそれ以上周回してから私たちの目に届く光が、光子リングとして見えています。このシミュレーションでモデル化されたブラックホールは、球形で回転していないため、光子リングはほぼ円形でどの角度からでも同じように見えています。

光子リングの内側の暗い部分は「ブラックホール・シャドウ」と呼ばれます。ブラックホール・シャドウは、事象の地平面(それより内側に入ってしまうと光も抜け出せなくなる境界面)の2倍ほどの領域です。

※2019年9月27日に公開した記事を加筆・修正・画像追加などを行って2024年5月14日にあらためて公開しました。

(参考記事)ブラックホールに落ちたらどんな景色が見えるのか NASAが可視化して再現

Image Credit: NASA’s Goddard Space Flight Center/Jeremy Schnittman

(参照)NASA's Scientific Visualization Studio