WRC世界ラリー選手権第13戦『フォーラムエイト・ラリージャパン2023』の開催を控えた11月10日、ラリージャパン2023実行委員会が主催する歓迎イベントが東京都港区の綱町三井倶楽部で行われた。イベントには自由民主党モータースポーツ振興議員連盟議員や、勝田貴元をはじめとするドライバーたちが参加し、ラリージャパンへの意気込みが語られた。

 2023年もラリー競技の世界最高峰シリーズであるWRCのシーズン最終戦として、11月16〜19日に愛知県と岐阜県で開催ラリージャパン。2年目となる今年は、愛知県豊田市、岡崎市、新城市、設楽町、岐阜県恵那市、中津川市で競技が行われ、拠点となる豊田スタジアムでは、新たに設けられた特設コースによる“スーパーSS(SSS)”も実施される。

 いよいよ開催まで1週間に迫り、来日し始める選手たちもいるなか、ラリージャパン関係者や選手が参加した“歓迎イベント”が開催された。

 イベントにはTOYOTA GAZOO Racing WRTから日本人ラリードライバーの勝田に加え、エルフィン・エバンスとチーム代表のヤリ-マティ・ラトバラ、ヒョンデ・シェル・モビスWRTからティエリー・ヌービルとコドライバーのマルティン・ウィダグ、そしてMスポーツ・フォードWRTからはアドリアン・フルモーが参加し、大会に向けての意気込みを語った。

 まず登壇した勝田は「まず、今回ラリージャパンを開催するにあたり、本当にたくさんの方の協力のおかげで今年も開催することができると聞いています。本当に感謝申し上げます」と、会場に集った関係者に感謝の言葉を述べ、2度目の母国ラリーへの抱負を述べた。

「やはりラリー競技は社会や自治体の理解がなくては開催できません。ラリージャパンはカーボンニュートラルへの未来に向け、そういった活動を広めていく本当に大きなイベントだと思います」

「僕は選手として活躍しながら、少しでも多くの方にモータースポーツの楽しさやクルマの便利さを感じてもらえるように、ひとりのドライバーとして活動していきたいです」

「ラリージャパンは僕やチームにとって、そしてファンのみなさんにとっても本当に大事なシーズン最終戦になると思います。全力を尽くして、最後に良いかたちで終えられるように頑張りたいと思います」

 続いてエバンスが登壇。チームメイトのカッレ・ロバンペラとチャンピオンシップを争った彼は「また日本に戻ってくることができて本当に嬉しく思う」とコメント。

「ラリージャパンは2度目になるけど、いろいろと難しいところもあるから、本当に大変でチャレンジングなイベントになる。でもチャレンジすることは大きいかもしれないけど、全力を尽くして、チームとって良い結果が出るように頑張りたい」と語った。

 そしてラトバラ監督は、まず日本語で「コンニチハ」と挨拶。その後ラリージャパンへの思いと、母国ラリーを迎えるTGR-WRTの明確な目標を示した。

「ラリージャパンへの関心の高さを嬉しく思っている。昨年は12年ぶりに日本でラリーが開催されたけど、2度目の開催となる今年はさらにワクワクしている。より多くの人がラリージャパンに来てくれるだろうし、大会も進化しているはずだから、本当に心が躍る気持ちだ」

「ラリージャパンはTOYOTA GAZOO Racingとして“ホームイベント”になるので、勝ちに行く。昨年は貴元が3位表彰台を獲得したけど、今回はその上を狙いたい。その目標に向けて頑張っているし、大変かもしれないけど、今回はとにかくモチベーションを高くもって、みんなで頑張っていくよ」

 なお、ラトバラ監督は、最後に「ご清聴ありがとうございました!」とふたたび流暢な日本語を披露して、会場を笑顔にさせた。

 続いては壇上に呼ばれた2022大会ウイナーのヌービルは「本当にまた日本に来ることができて嬉しく思っている。僕は昨年初めて日本に来て、大会への愛など、いろいろなことに気づくことができたし、なにより日本滞在を楽しむことができた」と述べ、その後のコメントではラトバラ代表を茶化しつつ大会連覇に向けた想いを語った。

「昨年のラリージャパンでは、新しい体験や文化、新しい国を知ることができた」

「でも、僕は日本語を話すために日本へ来ているわけではなく、ラリーで優勝するために来ている。日本はTGR-WRTのホームだけど、その場で優勝するために準備してきたんだ。今年も彼らに負けないように全力で戦うよ」

 ヌービルのコドライバーを務めるウィダグは「見に来てくれる人に良い試合や走りを見せたい。いつも日本のファンから貰っていることが多いけど、それを恩返しすることができればいいね」と続けた。

 そして、ラリージャパン初参戦となるMスポーツ・フォードのフルモーは「先週末から日本に滞在してジャパンモビリティショーなどを見ていたし、各地を旅行したりして日本の文化に接する機会もあった。今日も日光に行っていて、そこからこの場に来ているんだ」と初来日を堪能していることを明かした。

 また彼は1週間後のイベントに向け、次のように豊富を述べている。「ラリージャパンは初めての経験になるけど、良い走りができるように頑張りたいと思っている」

 歓迎イベントでは、その他にもラリージャパン2023実行委員会会長である太田稔彦豊田市長が、初の主催者としての苦労と、地元の盛り上がりについて説明した。

「今回のラリージャパンは豊田市が主催者となります。名乗りを上げたときは軽い気持ちだったのですが、開催が迫るに向けて『大変なものを引き受けてしまった』とつくづく感じました。ただ、その分実に多くの方の協力をいただき、“ワンチーム”としてのラリーが日本で開催されることも実感しました」

「ラリージャパンは愛知県と岐阜県で開催されますが、身近でラリーマシンの姿や走りを見ることができるため、地元のみなさんは大いに盛り上がっています。ラリー文化を日本に定着させるためにも、今回の大会が極めて重要になると思っています」

 いよいよ開催が迫る2023年のラリージャパン。今季の勝田はシーズン後半にかけて調子を上げており、昨年の総合3位を上回る活躍を期待したいところ。豊田スタジアムでのSSSなどを含め、見どころが多くなるであろうラリージャパン2023は、11月16日(木)に最初の公式走行となるシェイクダウンが行われる予定だ。