いよいよ11月16日から競技が始まったWRC世界ラリー選手権第13戦『フォーラムエイト・ラリージャパン2023』。愛知県豊田市の豊田スタジアムでは、ラリーの拠点となるサービスパークが設置されると同時に、フィールド内に特設コースが設営され、豊田スタジアムSSS(スーパー・スペシャルステージ)が行われる。

 同ステージを使用する競技は、早くもデイ1となる16日の19時05分からスタートする予定だ。すでにコース図などが公開されており、大会初日には実際にコースを歩くことができる“コースウォーク”が実施された。編集部員も実際に歩いてみたので、その印象をお伝えしたい。

 競技場内でのスーパーSSは、以前に北海道でラリージャパンが開催された際に札幌ドームで実施されたものと同様となり、豊田スタジアムでも立体交差を用いたコースが設営されている。さらにコースは大小さまざまなコーナーに加えジャンプスポットも存在する。

 まずスタート/フィニッシュラインを超えたマシンはこちらの第1コーナーに進入していく。ターン1ということでコーナー角度は比較的緩やかな印象を受ける。ただ、コンクリートブロックで硬いバリアに接触すると、車両の速度と角度によってはダメージを負ってしまうかもしれない。

 ターン1をアウト側でクリアした車両は短い裏ストレートを突き進む。一方でイン側の車両は裏ストレートを途中で曲がり、立体交差の下側を通過するコース取りとなる。立体交差下を通過した車両はここからコーナーが連続するコースになる。

 そしてターン1をアウト側で通過した車両は、裏ストレートから右のターン2を通過して立体交差上側を通過。この部分の高低差は3.2メートルとなっており、橋から飛び出るときに車両が飛ぶ“ジャンピングスポット”になっている。

 立体交差上のハイスピードジャンピング区間を通過した車両と、コース距離は短いもののテクニカルなインフィールド区間を通過した車両はターン1イン側に設けられたコーナーで合流。ここからスタート/フィニッシュラインまで並走し、最終右コーナーをクリアすると1周完了だ。

 なお、コースウォーク中にモータースポーツファンおなじみのピエール北川さんを発見。ピエールさんは前日15日にラリージャパン公式SNSの動画企画で特設コースを走行済みということで、その印象を聞いた。

「最初はサッカー用のスタジアムということで『少し狭いかな』という第一印象を持っていましたけど、実際に走行してみると想像以上に広かったです」と第一印象を語るピエールさん。

「結構スピードを出すことができますし、ジャンピングスポットなどのアクションが生まれそうな場所もしっかりとあります。立体交差下のテクニカル区間は、ドライバーがサイドブレーキを引いたりするテクニックを見ることができると思います」

 またピエールさんは観客目線で「何よりコースとお客さんが座るスタンドの目線がかなり近いので、他のコースでは味わえない迫力が楽しめるはずです」と笑顔をみせ、競技においてポイントになる場所を続ける。

「登りと下りのスロープがかなり急な勾配になっているので、あまり元気よく行き過ぎると車両を痛めてしまいます。でも、そこでスピードコントロールをし過ぎてしまうと、今度はタイムに響いてしまいます。そう考えると、ジャンピングスポットは競技のポイントになると思います」

 また、日本人ラリードライバーとして世界最高峰のWRCに参戦するTOYOTA GAZOO Racingワールドラリーチーム(WRT)の勝田貴元も、初となる豊田スタジアムでのスーパーSSについて、初日シェイクダウンを終えて以下のように語っている。

「僕もラリー北海道のときにスタジアムコースでラリーを見ました。ですので、最初はスタジアムコースでラリーを見て楽しんでもらいたいですね。そこでラリーの面白さを感じていただき、そこから山間部などのステージに足を運んでもらえたら嬉しいです」

 コースとともに注目が多い豊田スタジアムでのスーパーSS。ラリージャパン初のスーパーSSは、16日の19時05分にSS1がスタートする予定になっている。なお、豊田スタジアムでのスーパーSSは17日にSS8、18日にSS16と、合計3回行われる予定だ。