今週末、金曜日から走行が始まる日本初の公道での世界選手権レース、フォーミュラE Tokyo e-prix。日本からはニッサンがメーカーとして参戦しているが、国内モータースポーツファンにはお馴染みのニスモとはどのような点で関わりがあるのだろうか。スーパーGT公式テスト、富士の現場で聞いた。

 まずは、一般的にもっとも関わりが深いのが、ドライバーの高星明誠だ。2021-2022シーズンまでニッサン・フォーミュラEチームのテスト&リザーブドライバーを務めており、国内のフォーミュラE関連のイベントではデモランなどで走行する機会が見られた。


 先日の六本木でのイベント『NISSAN FORMULA E ROPPONGI CIRCUIT』でも幅2.5メートルという狭い特設サーキットでの走行を担当。小池百合子都知事、俳優の白石麻衣さん、そして日産自動車の星野朝子副社長とステージに登壇した。高星に、そのイベントの感想を聞いた。

【動画】ROPPONGI CIRCUIT @ROPPONGI HILLS ARENA

「モータースポーツのPR活動が六本木ヒルズという場所で開催されるというのは、本当にすごいことだなと思いますし、それだけ日産自動車がフォーミュラEに対して力を入れているというのを実際に肌で感じました」と高星。

「東京都の小池都知事、白石麻衣さん、そして日産自動車の星野副社長と登壇しましたが、メディアの数もすごかったですね。フォーミュラEに多くの方が注目してくれたらいいなと思います。小池都知事とは以前にも都庁前でのイベントでお話しさせて頂いたことはありますが、白石麻衣さんとお話しするような機会はありませんでした」と続けた。

 その高星だが、東京大会では残念ながら、レースウイーク中での走行はないようだ。

「フォーミュラEの東京大会にはもちろん、僕も現場には行きますが、今はテストやリザーブドライバーとかではないので、ニッサンチームのガレージで無線を聞くというような形ではないと思います。レース翌日(3/31)にイベント(E-Tokyo Festival 2024)でのデモ走行などで参加させて頂くような形ですね」

 ニッサンは2018年に『日産e.dams』としてフォーミュラEに参戦し、2022年に『e.dams』を買収して、シーズン12(2025-2026)までの参戦を発表、そして本日、シーズン16の2029-2030年までの継続参戦を明らかにした。

 ニスモとしては、2011年からEVレーシングカー『NISSAN LEAF NISMO RC』を開発するなど、日産が掲げるゼロ・エミッションに向けて電動化技術を磨いてきた。2022年から片桐隆夫社長が『日産フォーミュラE』のボードメンバーとして参加。

 さらにEVやバッテリーの技術の開発要員としてニスモからフォーミュラEチームへエンジニアの派遣も検討されたが、最終的には日産からエンジニアがチームに協力することになった。2021年からは日産フォーミュラEチームのチーフ・パワートレイン・エンジニアを日産で市販車のドライブトレイン開発を担当していた技術開発部門の西川直志氏が務めている。

 日本のドライバーとしてもっともフォーミュラEに近い高星もニッサン・フォーミュラEチームの活躍だけでなく、フォーミュラE、そしてモータースポーツが注目を浴びる機会として、今回の東京大会を楽しみにしている。

「公道での世界選手権のレースが日本で初めて、しかも都内で行われるということで、普通のレースよりも見に行きやすいですよね。これまではサーキットが遠くて行けないという方も多かったと思いますので、アクセスの面で東京の街中で今まで以上にレースを身近に見れるというのは、すごく魅力的なことですよね」

「この機会に僕たちもフォーミュラEの魅力をもっともっと多くの方に伝えていければいいなと思いますし、レースは今までの日本のレースでは馴染みのないようなフォーマットですけど、コース上でのバトルはすごく多いレースですし、結構、クルマ同士が接触したりぶつかってもガンガン行っちゃえみたいな部分があって(苦笑)、エンターテイメントとしての面が強いので、楽しんでもらえたらいいなと思います」

 日本初の東京都内での世界選手権、果たして日本のモータースポーツ界にどのような影響を与えるのだろうか。さまざまな意味で、注目度の高いイベントとなりそうだ。