3月2日にカタールのルサイル・インターナショナル・サーキットで行われた『カタール1812km』レースで、2024年のWEC世界耐久選手権が開幕した。

 LMP2クラスが廃止された2024年のWECは、『ハイパーカー』と『LMGT3』という2クラス構成に。さらにGTカテゴリーはLMGTE規定からGT3規定へとマシンのベース規則が変更されるという大きな転換点を迎えたが、GTカテゴリーにおけるタイヤサプライヤーも、これまでのミシュランからグッドイヤーへと改められている。

 グッドイヤーはもともとLMP2クラスへとタイヤを独占供給してきた。LMP2に関しては今季もELMSヨーロピアン・ル・マン・シリーズでは継続、さらにWECでも第4戦ル・マン24時間レースのみではエントリーに組み込まれ、3クラス構成となる。

 これらLMP2に継続してタイヤを供給するグッドイヤーは、今年新たにLMGT3用のタイヤも開発。耐久レース・プログラム・マネジャーのマイク・マクレガーは「新たに開発されたLMGT3用のタイヤは、GTレースにおけるサステナブル素材の割合がもっとも高いもののひとつ。約33%がサステナブル素材で構成されている」と説明する。

 LMP2では実質的にシャシーはオレカのワンメイクとなっていた一方、LMGT3では多種多様なマニュファクチャラーに対し公平なスペックのタイヤを供給しなければならない難しさがあるが、グッドイヤーは「バーレーンの極端な気温から、カタールの容赦ない激しさ、そしてスパ・フランコルシャンの予測不能な気象状況まで、シーズンを通して対応するドライタイヤと最新のウエットタイヤの2種類を開発した」と説明している。

 この2022年から開発が進められていたグッドイヤーのLMGT3用タイヤについては、2023年11月に行われたモンテブランコでのテストの時から、GTドライバーたちから好評の声が上がっていたという。

 ポルシェのファクトリードライバーを務めるリヒャルト・リエツは「このタイヤは幅広い温度域に対応でき、タイヤウォーマーなしでスタートができる。とても満足している」と語り、最新GT3車両となるフォード・マスタングGT3をドライブするベン・バーカーは、「最初から最後までタイヤのフィーリングはほとんど変わらない。正直に言って、グッドイヤーが開発したタイヤのフィーリングは素晴らしい。もっといろいろなサーキットで試したいと思っている」とコメントしている。

「2024年はグッドイヤーにとって、2020年のル・マン復帰以来、もっとも大きな存在感を示す年になる」とマクレガー。

「パートナーシップが継続されるELMSでは、3つのカテゴリーのうちふたつでグッドイヤーは単独でタイヤを供給する。また、新設されたLMGT3カテゴリーでは、LMGTEよりもロードカーに近いマシンがグリッドに並ぶ。レース用タイヤの開発で培った技術を、市販車用タイヤ開発に応用するという“Race to Road”を実践する最適な場ということだ」

 6月のル・マン24時間レースでは、23台のLMGT3車両に加え、16台のLMP2マシンにもグッドイヤーがタイヤを供給することになる。