4月5日、ヤマハ発動機株式会社は、ファビオ・クアルタラロと2年間の契約を延長したと明かした。MotoGPクラスに参戦しているモンスターエナジー・ヤマハMotoGPチームから2026年までクアルタラロを参戦させると発表した。

 フランス人のクアルタラロは2015年にMoto3クラスよりデビューを果たし、2度のポールポジションと2度の2位表彰台を獲得。翌2016年もMoto3で戦った後、2017年と2018年はMoto2クラスに昇格して優勝も経験した。

 2019年からはヤマハのサテライトチームであるペトロナス・ヤマハSRTと契約を結びMotoGPに昇格。初年度はルーキー・オブ・ザ・イヤーに輝き、ファクトリースペックのヤマハYZR-M1を駆った2020年は3勝をマークした。

 そして、2021年からはヤマハのファクトリーチームであるモンスターエナジー・ヤマハMotoGPに昇格。5度のポールポジションと5度の優勝を含む計10度の表彰台を獲得してチャンピオンに輝いた。2022年は最終戦までチャンピオン争いを繰り広げた末に惜しくもランキング2位でシーズンを締めくくるパフォーマンスも見せた。

 ところが、2023年は決勝で3度の表彰台とスプリントで1度の表彰台にとどまり、未勝利でランキングは10位。2024年はヤマハにコンセッション(優遇措置)が適応されているが、未だ苦境は続いている状況だ。

 そんななか、クアルタラロとヤマハは2024年までの契約をさらに2年間延長。彼がヤマハに所属して6年目だが、2026年まで8年間ともに過ごすことが決まった。

 ヤマハにとってはクアルタラロを継続させることは最優先事項だったという。クアルタラロとタイトル奪還を目指すために協議・熟考を重ねて、開発体制やシステム、組織を大幅に変革するという大きなチャレンジを進めている。クアルタラロはこれに深く賛同し、タイトル奪還に向けともにチャレンジしていくことを決意し、今回の契約更新に至ったという。

■ファビオ・クアルタラロ
「ヤマハ・ブルーでこの挑戦を続けられることになったのはスーパーハッピーだよ! 昨年冬からヤマハは、まったく新しい開発体制やシステムを取り入れ、より積極的な開発方針に切り替えたことで、僕は自信をもってヤマハとチャンピオン奪還を目指す決断ができた。6年前、ヤマハは僕にMotoGPで戦うチャンスをくれた。それから一緒に多くの素晴らしい成果を達成してきた。まだ、勝利を目指せるようになるには時間がかかると思うけど、ヤマハのみんなと一緒に夢を叶えられると信じて、懸命に励むよ!」

■リン・ジャービス(Yamaha Motor Racingマネージングダイレクター、Monster Energy Yamaha MotoGPチーム代表)
「私たちはファビオがヤマハに残る決断をしてくれたことを本当にうれしく思う。ファビオがファクトリーチームの一員であることは、ヤマハのMotoGPプロジェクトにとって不可欠なことだ。並外れた才能の持ち主であり、ハードワーカーであり、素晴らしいチームプレーヤーで、今後も何年間にもわたって活躍してくれるはずだ」

「ヤマハ発動機、ヤマハ・モーター・レーシング、Monster Energy Yamaha MotoGPは、マシン開発において“より一層アグレッシブな取り組み”を行い、ファビオとともに輝かしい未来を実現するため努力を惜しまない。私たちはすでに、新しい開発体制やシステムの導入、業界トップのプロフェッショナルの採用、外部との技術提携、開発予算の増加、テストプログラム強化など、さまざまな分野で大幅な変更を行っている。これらが“勝利”に向けて最速、最短の方法であると信じ取り組んでいる。ファビオはこうした取り組みを理解したことで、2年間の契約という決断に自信を持ったのだ」

「2019年にヤマハに加入し、ファクトリーチームでの出場は2021年からですが、わずか4年という期間で優勝8回、表彰台21回、MotoGPチャンピオン、ランキング2位など多くの成功を収めてきた。2021年や2022年の前半のような高いレベルに戻るためには、まだ多くの課題があることをまず認めなければならない。しかしファビオは皆さまもご存知のように、常に100%、最大限の努力を注ぐ。同時にチームスタッフ全員と調和を図り、よい雰囲気を作り出すこともまた、彼の能力だ。ともにチャンピオンを目指す挑戦のなかで、チームとヤマハはあらゆる段階で彼を全面的にサポートしていく」