アルピーヌF1チームに近い情報筋によると、チーフテクニカルオフィサーとしてデイビッド・サンチェスが加入するという話が浮上している。

 F1日本GPが行われた鈴鹿サーキットで名が急浮上していたサンチェスは、マクラーレンF1でカーコンセプトおよびパフォーマンス担当テクニカルディレクターを務めた人物で、2024年にチームを去ったことが明らかにされていた。彼がチームに所属していた期間は、わずか3カ月ばかりであったために次の所属先が噂されていたのだ。

 アルピーヌからは、テクニカルディレクターのマット・ハーマンと空力責任者のディルク・デ・ビアが2024年の3月に辞任している。その後チームは組織の再編を行い、エンジニアリング担当テクニカルディレクターにジョー・バーネル、空力担当テクニカルディレクターにデイビッド・ウィーター、パフォーマンス担当テクニカルディレクターにシアロン・ピルビームを就任させた。

 現在3人は、チーム代表であるブルーノ・ファミンの直属として緊密に連携している。しかし、チームには明確な技術部門のリーダーがいない状況であるため、その役割となるチーフテクニカルオフィサーにサンチェスが就く可能性があるというのだ。

 F1業界では、このフランス人の技術的能力を疑う者は誰もいない。彼は過去にフェラーリとマクラーレンから離脱して話題に上がったことがあるが、それはもっとも重要な決定を行う責任をほかのエンジニアと分担しなければならない組織で働きたがらなかったためだ。

 フェラーリでは、シャシーとエアロダイナミクスを担当するエンリコ・カルディレと、パワーユニット部門を監督するエンリコ・グアルティエリがサンチェスと同等の地位にあり、彼は逐一諸々の進捗や洗濯を彼らに報告しなければならなかったが、それは彼にとってあり得ないことだった。

 続いてマクラーレンに起用されたとき、サンチェスは自身が技術部門を完全に統括することになると想定していたが、ファクトリーに到着するとロブ・マーシャルやピーター・プロドロモウと同等の立場だということが分かった。彼は新しい仕事を始めてわずか数週間後に、この役割が自身に合っていないことを感じ取った。

 アルピーヌにはまだ誰もが認める技術リーダーがいないこと、そしてそれはサンチェスが長い間求めていた役割であることを考えると、7月初めにガーデニング休暇が終わり次第すぐに、サンチェスがアルピーヌの新たなチーフテクニカルオフィサーに就任したことが発表されるだろうと広く信じられている。

 そうなれば、サンチェスはアルピーヌの2025年型マシンのデザインに影響を及ぼすだろう。さらに重要なことは、これから先に導入されるまったく新しいテクニカルレギュレーションに準拠する未来のマシンを決める重要な仕事に着手するということではないだろうか。