5月18日、インディアナポリス・モータースピードウェイで開催される伝統のレース『第108回インディアナポリス500マイルレース』はいよいよ予選がスタート。2日間に分かれて行われる予選の1日目は、ウィル・パワー(チーム・ペンスキー)がトップタイムで通過を果たした。また、レイホール・レターマン・ラニガン・レーシングから自身3度目のインディ500勝利を狙う佐藤琢磨は、9番手で予選1日目を終え、翌日のトップ12予選に進出している。

 14日(火)にプラクティスが開始となり、雨による中団を幾度となく挟みながら迎えた大会5日目は、いよいよ予選初日の幕が開けた。

■ペンスキー勢が早々に1-2-3体制へ

 インディ500の予選は、1台ごとにマシンがアタックする。その形式は、1周のウォームアップから連続4周でアタックし、その平均速度を競うアテンプトと呼ばれるかたちで行われる。

 予選1日目となったこの日は、明日に控えるトップ12やファイアストン・ファスト6という上位のスタートグリッドを決めるセッションへの通過枠を争う。そして、その進出を逃した13番手から30番手までのドライバーについては、スタートグリッドがこの日の順位で決まることとなる。

 まずは1度目のアテンプトが、金曜のセッション終了後のくじ引きで決められた順番で、気温23度、路面温度32度といったコンディションのなかスタート。

 最初にコースインしたカイル・カークウッド(アンドレッティ・グローバル)から順にアタックへ向かっていく。4番目にコースへ向かったリナス・ヴィーケイ(エド・カーペンター・レーシング)は、アタックを完遂できずにクラッシュを喫するシーンも見られた。


 序盤は、2番目にコースインしたスコット・マクラフラン(チーム・ペンスキー)が233.332mphでタイミングボード上のトップをキープ。そして、9番目にアタックしたチームメイトのウィル・パワーが233.758mphで首位を塗り替える。10番目で続けざまにアタックした昨年のインディ500覇者ジョセフ・ニューガーデン(チーム・ペンスキー)も、233.293mphで3番手につけ、チーム・ペンスキーが1度目のアテンプトでワン・ツー・スリー体制を築き上げた。

 ペンスキー勢に続いたのはアロウ・マクラーレン勢で、1度目のアテンプトをスルーしたアレクサンダー・ロッシが4番手に。6番手には、NASCARカップ・シリーズからの刺客カイル・ラーソンが続いた。2台の間の5番手には、トップアタッカーのカークウッドが入り、ホンダ勢最上位につける。

 そして、2024年はレイホール・レターマン・ラニガン・レーシングに復帰しての挑戦となる佐藤琢磨は、1度目のアテンプトで12番手となる232.140mphをマークし、チーム内トップの順位に立つ。

■再アテンプトで琢磨が渾身のアタック

 以降は、再セッティングを施したマシンで各ドライバーが2度目のアテンプトへ。ここからは各車、ピットレーンでレーン1とレーン2の2列に並び、順番にコースへと向かっていく。昼下がりに差し掛かるこの時間帯になると、路面温度は45度近くまで上昇していった。

 再アテンプトでは、優先的にコースに入ることができるのはレーン1に並んでいるドライバーとなる。しかしその場合は、保持している記録を手放して再挑戦することになるため、アタック失敗は大きな痛手となる。一方のレーン2は、コースインの優先順位こそ低いものの、その時点での自身の記録を保持しながら上書きを狙ってアタックすることができる。

 このセカンドアテンプトでスピードアップを果たしたのが、12番手につけていた佐藤琢磨だ。現地時間で15時30分に差し掛かろうかという頃、ライバルらのアタックが落ち着いてきたタイミングでレーン2からコースイン。

 集中を澄ましたアタックを披露した琢磨は、1度目のスピードを0.333mph上回る232.473mphをマーク。チームメイトらがスピードを伸ばせずに苦労しているなか、気合の走りで9番手にポジションを上げた。


 琢磨に次ぐ10番手には、パト・オワード(アロウ・マクラーレン)が浮上して、ロッシ、ラーソンといったチームメイトに続くトップ12圏内へ。

 さらに、最終盤にコースへと向かったのは、1度目のアテンプトでクラッシュを喫していたヴィーケイ。直したマシンで辛うじて残していた231.166mphから、232.419mphへとスピードアップを果たして見事11番手にポジションを上げた。12番手には、こちらも終盤にアタックを試みた2014年インディ500の勝者であるライアン・ハンター-レイ(DRR-キュージック・モータースポーツ)が滑り込み、この日の予選アタックは終了となった。

 トップから、パワー、マクラフラン、ニューガーデン、ロッシ、カークウッド、ラーソン、フェリックス・ローゼンクヴィスト(メイヤー・シャンク・レーシング)、サンティノ・フェルッチ(A.J.フォイト・エンタープライゼス)、佐藤琢磨、オワード、ヴィーケイ、ハンター-レイの12名が明日のトップ12セッションへ進出。今大会好調のシボレーエンジン勢は、ペンスキーとマクラーレンらの高いポテンシャルが見えた一方、エンジン関係のトラブルも少し目についた。また、優勝候補と目されていたチップ・ガナッシ・レーシング勢は1台も上位12台に残ることができなかった。

 そして、13番手のコルトン・ハータ(アンドレッティ・グローバル)から30番手のマーカス・エリクソン(アンドレッティ・グローバル)まではスタートグリッドが確定。明日は、いよいよポールポジションを決めるトップ12、ファスト6のセッション、そして、予選落ちの1台を決めるラスト・チャンスのセッションが行われる。