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 開幕直後は40打席本塁打なしと苦しんでいたロサンゼルス・ドジャースの大谷翔平選手。今季1本目となるホームランを打って以降、不振がうそのように快進撃を続けている。その打撃内容をみると、ヒット・長打にした球種やコースが広がり、開幕直後までの穴がなくなっていたのだ。一方で、打撃成績の“ある”数字が改善できていない現実もある。

 

 

大谷翔平に何が?!今季第1号前後の変化とは…

 
 大谷選手にどんな変化があったのか?今季第1号ホームランが出る前後での大谷選手の打撃の変化を中心に取り上げる。なお、ホームでのサンディエゴ・パドレスとの3連戦が終了した4月14日(日付は現地時間。以下同)終了時点までのデータを対象とした。
 
 まとめると、以下のようになる。
・真ん中、ファストボール、スライダーを中心に成績向上
・穴がなくなり打球方向も広角に
・外角高めを高い確率でホームランに
・好調になっても得点圏の成績に課題

 

 

 4月2日以前と4月3日〜14日の数字を比較すると、以下の変化がみられる。OPSや打点は倍を上回る伸びを、塁打数は3倍を上回る伸びを示した。
・打率:.242→.415
・OPS:.630→1.393
・ホームラン:0→4
・打点:3→7
・塁打:11→38
 
 塁打数を例にとると、今季9試合目以降の伸びが大きくなっている。

 

 開幕以降の塁打数の推移


 
 4月3日〜14日のAB/HR(ホームラン1本当たりの打数)は10.25と2023年まで過去3年と比べても高い数値を示している。この期間のヒット17本のうち12本が長打だった。4月14日終了時点では、二塁打(10本)でMLB1位、安打数(25本)でMLB2位タイとなっていた。
 

コース別、球種別打撃内容の変化

 投球に対する打撃内容につき、MLB機構が運営する米解析サイト『Baseball Savant』のデータをもとに2つの期間の比較を行う。
 
 コース別にみると、4月2日までハードヒット(打球速度95マイル(約153キロ)以上の打球)の割合11.1%、バレル(一定の角度・速度以上の打球)なしと苦戦していた真ん中に対し、4月3日〜14日はハードヒット率44.4%、バレル率33.3%と大幅に改善した。
 
 真ん中低めもハードヒット率50.0%を記録し、外角高めもボール球を含めハードヒット、バレルの割合が高い。一方、インコース高めのハードヒットおよびバレル率は、4月3日〜14日時点も12.5%(同じ数字)になっている。

 

ハードヒット数・割合の期間別比較


 

バレル数・割合の期間別比較

 
 3つの球種区分別に、『Baseball Savant』のデータをもとに開幕から4月2日までの長打率、4月3日〜14日の長打率を比較すると以下のようになり、4月2日まで苦手にしていたブレーキング系の球種の数字が大きく伸びている。
 
ファストボール:.333→.769
ブレーキングボール:.111→1.100
オフスピードボール:.333→.875
 
 主要球種の長打率につき、『Baseball Savant』のデータをもとに4月2日までと開幕〜4月14日の数字を比較すると、以下に変化した。苦戦していた各球種の数字が大きく改善したほか、開幕直後も得意だったチェンジアップに対する数字はさらに向上している。
 
 フォーシーム:.000→.643
 スライダー:.111→.600
 シンカー:.333→1.000
 チェンジアップ:.714→.900
 
 打球方向割合に関する4月2日までと、開幕〜4月14日の数字の変化は以下のようになった。同じくデータは『Baseball Savant』による。ライト方向に引っ張った割合は20ポイント近く低下した分、センターから逆方向の割合が高まっている。
 
 ライト方向:65.4%→46.7%
 センター方向:19.2%→28.3%
 レフト方向:15.4%→25.0%

今季放った4ホームランの特徴

 
 米解析サイト『Gameday』の記載に基づく4月14日終了時点での4ホームランの内容は以下のとおりである。丸数字は号数で、球速、球種、打球速度、飛距離、角度の順に示している。
 

ホームラン内容や球種・コースの詳細(4月14日まで)

 
 
 青文字は右方向、赤文字は左方向の打球である。球種や球速に差はあるが、いずれのホームランも真ん中よりも外角を捉えている点、外角高めのファストボール系の球種をホームランにしている点が特徴である。前の図と合わせてみると、外角高めが高確率でホームランになっている。

唯一の課題は“得点圏での打撃”?

 
 しかし、今季第1号以降も、得点圏(走者を2塁ないしは3塁に置いた場面)での成績が改善していない。
 
 大谷選手の今季4月14日までの得点圏の成績は、4打点を記録しているとはいえ、15打数1安打、打率.067、出塁率.059にとどまる。好調に転じた4月3日〜14日に限っても、得点圏での成績は、5打数0安打1打点1犠飛だ。ホームランはない。
 
 得点圏での今季唯一のヒットは、ソウルでのパドレスとの開幕戦で、エイドリアン・モレホン投手から打ったレフト前へのタイムリーヒットだ。一方で、走者なしの場合はOPS1.367、走者1塁の場合はOPS1.143と高い数字を残している。
 
 なお、2021〜2023年の得点圏でのOPSは1.166、1.213、1.079と、いずれもそれ以外を上回る数字を残していた。

 

 

目指していた打撃が定着したか

 
 今季第1号ホームラン以降の大谷選手の打撃内容の変化を簡単にまとめると、速い球を逆方向に高く強い打球を打てるようになったことだろう。
 
 パドレスのマイケル・キング投手から高めのフォーシームを逆方向にスタンドインさせ、松井秀喜氏の日本人記録に並んだ今季4号、通算175号がその典型に見える。
 
 細かく言えば内角高めに課題があるとはいえ、穴がなくなってきた感じだ。故障明けや海外遠征による調整遅れが解消され、ずっとテーマを持って取り組んだ打撃が契機に定着したのかもしれない。あとは得点圏での打撃。この数字が高まれば鬼に金棒だ。

 
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【了】