◆ 若きリードオフマンがチームを牽引

 メジャーリーグは各チームがそれぞれ40試合前後を消化。レギュラーシーズンの4分の1が終わろうとしている。

 開幕ダッシュに成功したチームもいれば、失敗したチームもいるが、ア・リーグでは東地区で連覇を狙うオリオールズの強さが際立っている。

 昨季はリーグ断トツの101勝を挙げたオリオールズだが、ポストシーズンでは“らしさ”を見せることができず。地区シリーズでレンジャーズにまさかの3タテを食らって無念の敗退。逆襲を誓って今季開幕を迎えた。

 エンゼルスとの開幕3連戦を2勝1敗と勝ち越したオリオールズは、その後もがっちり投打がかみ合って、ここまで3連敗が一度もない非常に安定した戦いぶりを披露。地区2位のヤンキースとゲーム差はないが、26勝14敗(勝率.650)と貯金を12個つくって首位に立っている。

 特に自慢の打線は、ア・リーグトップの1試合平均得点5.0をマーク。本塁打の数はドジャースを上回り、メジャー全体でも最多の62本という爆発力を誇る。

 そんな好調オリオールズ打線の中で特に高い貢献度を見せているのが、メジャー3年目を迎えた22歳のガナー・ヘンダーソンだ。

 かつて『ベースボール・アメリカ』の有望株ランキングで、全体1位に選出されたこともある右投げ左打ちの逸材は、2年目の昨季にブレイク。21歳にして正遊撃手の座をつかみ取ると、打率.255、28本塁打、82打点の成績を残し、チームの地区優勝に大きく貢献した。


◆ ヘンダーソンが打てばチームは勝つ?

 今季はブルージェイズに競り負けた13日(日本時間14日)までチームの全40試合に1番打者として先発出場。打率.264、12本塁打、27打点をマークしている。

 チームに勢いをもたらす役目も担う若きリードオフマンは、実際にチームへの影響力は大きく、ヘンダーソンが打てば勝ち、打たねば負けるというシーズンを送っている。

 チームの40試合のうち、ヘンダーソンが安打を放ったのは25試合、無安打が15試合あるが、それぞれのチームの勝敗は前者が23勝2敗、後者が3勝12敗という極端な成績となっているのだ。

 ヘンダーソンが2安打以上放った試合に限れば、14勝0敗と負けなし。本塁打を放った試合も11勝1敗と、ヘンダーソンの成績がチームの勝敗に直結していることが分かるだろう。

 参考までに今季の大谷翔平と比べてみた。大谷が安打を放った試合でドジャースは20勝13敗、無安打の試合で7勝1敗。ヘンダーソンのような大きな偏りは見られなかった。

 1983年以来のワールドシリーズ制覇を目指すオリオールズにとってヘンダーソンがチームの浮沈のカギを握る存在となるのは間違いないだろう。22歳のスーパースターからますます目が離せない。

文=八木遊(やぎ・ゆう)