国際舞台でしか味わえない緊張感



トヨタ自動車の39歳・佐竹[左]と、ENEOSの入社2年目・丸山[右]は10月のアジア競技大会に出場。大学4年間で学んだ「早稲田魂」が根底にある[写真=矢野寿明]

 早大の現役学生と、OB現役社会人で編成する「稲門倶楽部」が対決した「全早稲田戦」(主催:早稲田大学野球部、新潟県南魚沼市、後援:稲門倶楽部、(株)ベースボール・マガジン社)が8月12日、新潟・南魚沼市の大原運動公園ベーマガSTADIUMで開催された(試合は稲門倶楽部が21対2で勝利)。

 今回、編成された稲門倶楽部のチームには、侍ジャパン社会人代表の2人が名を連ねた。第19回アジア競技大会(中国・杭州、10月1日〜7日開催)に出場する代表選手24人が8月9日に発表された。

 トヨタ自動車の右腕・佐竹功年は39歳のベテラン。ジャパンの常連メンバーであり、社会人野球のレジェンドは貫録十分だ。

「アジア競技大会は3度目になります。社会人における一番、大きな国際大会です。金メダルは1994年の広島大会以来、遠ざかっており、何とか、優勝したいなと思っています」

 もう一人、レジェンドがいる。元メジャー・リーガーのENEOS・田澤純一(横浜商大高)が37歳で日の丸を背負うことになった。

「年齢の近い『仲間』がようやく入ってきてくれまして、おじさんパワーで頑張っていきたいと思います(笑)」

 佐竹はこの日の全早稲田戦で先発し、1回無失点。打者3人で封じ、あらためて存在感を見せつけた。一方、入社2年目のENEOS・丸山壮史内野手は、3大会ぶり2度目の世界一に貢献した昨年のU-23W杯に続く代表入り。全早稲田戦では途中出場で、3ランを含む2安打3打点と、社会人トップクラスの実力を見せつけた。昨年、ルーキーで9年ぶり12度目の都市対抗制覇に貢献した丸山は、すでに超名門・ENEOSでも中心選手である。

「佐竹さんは早稲田、社会人のレジェンド。一緒にプレーできるのは、光栄でしかない。トヨタ自動車は都市対抗で優勝し、自分たちENEOSはそのトヨタ自動車に2回戦で敗退しました。佐竹さんの目からENEOSはどう映っているのか、相手投手から自分はどう見えているのか、いろいろ勉強させていただきたいと思っています。多くを吸収して、学んだことを自チームに持ち帰りたいです」

 佐竹は言う。

「早稲田大学野球部のOBで社会人日本代表に選出されるのは、2016年の丸子達也(元JR東日本)以来(U-23W杯)かと思います。しばらく遠ざかっていましたので、丸山は打撃が良いので期待しています」

 国際舞台でしか味わえない緊張感がある。経験した者にしか分からない重圧。百戦錬磨の佐竹は日の丸の精神的支柱であり、次世代へとジャパンの「魂」を受け継ぐ役割も担う。すでに、チームを背負う覚悟が備わっている丸山も、その一人であることは間違いない。

文=岡本朋祐