第2シードを手に



横浜清陵高は三浦学苑高に勝利。準々決勝進出で夏の第2シードを得た[写真=BBM]

【4月20日】
春季神奈川県大会4回戦(大和)
横浜清陵高2-0三浦学苑高

 私学強豪がひしめく激戦区・神奈川で横浜清陵高が、公立校で唯一の8強入りを決めた。三浦学苑高との春季県大会4回戦(4月20日)を2対0で勝利。夏の甲子園出場をかけた神奈川大会のシード権は、春の県大会16強以上だが、これで第2シードを手にした。

 第3シードをかけた横浜創学館高との3回戦は、7対4の逆転勝ち。サイド気味から腕が出てくる左腕・二野宮遥(3年)が144球の力投で4失点完投。三浦学苑高との4回戦で先発したのは右腕・堀内拓哉(3年)だった。横浜清陵高・野原慎太郎監督は寝る間を惜しんで、対戦校を研究し「(相手打線を見て)スイング軌道が相手にはまりそうか、と。適材適所です」と、先発起用の理由を明かした。

 二野宮、堀内とも持ち味を存分に発揮し、指揮官の期待に応えた。堀内は3回戦で「三番・一塁」で出場したように元野手。現役時代に投手だった野原監督に素質を見出され、2年夏以降は投手兼任。最速130キロ。変化球は打者のタイミングを外すカーブのみだが、ストレートを丁寧にコーナーへ集める。三浦学苑高との4回戦は打たせて取る投球で8回を2奪三振、4安打無失点、2四球と安定感抜群だった。9回は二野宮が打者3人を完璧に締めている。

「マウンドでは熱くならず、冷静に、打者一人ひとりに集中して投げました」(堀内)


先発の右腕・堀内は8回無失点と好投した[写真=BBM]

 堀内はこの試合、四番として2安打。2回裏は先頭打者で右二塁打を放ち、一死三塁から内藤大維(2年)の左前打で先制のホームを踏んだ。4回裏にも先頭で右前打。新基準の低反発バットをうまく活用し、見事な右打ちだった。8回裏一死一、三塁ではきっちり中飛を打ち上げ、犠飛で貴重な2点目を挙げた。一方で6回裏には無死一塁から犠打を決めた。

「サインによって、役割があります。個人の欲は出さず、チームが勝つために動くのが自分たちの野球です」(堀内)

 横浜清陵高はバントの精度が高い。確実に得点圏に走者を進めて、ここ一番のチャンスで神経を研ぎ澄ます。そして、走者二塁の場面では右打ちを徹底し、チームとしての戦術がたたき込まれている。また、ほとんどの選手がバットを短く持ち、しぶとく食らいつく。さらには、指示が的確なベンチワーク。常日頃の練習から生み出される「組織力」が、強豪私学にも互角に戦える根底にある。

 横浜清陵高のモットーは“全員攻撃 全員守備” “準備 全力 最後まで”だ。充実の春の公式戦を経て、最大の目標は「甲子園で勝つこと」で統一されている。夏の神奈川大会における県立高校の代表校は、1951年の希望ケ丘高が最後である。向上高との準々決勝(4月27日)も不変のスタイルで挑む。

文=岡本朋祐