チケットボックスからの長蛇の列



神奈川春季県大会は4月27、28日に準々決勝2試合ずつが組まれた。28日には県上位の常連校4チームが登場した[写真=田中慎一郎]

【4月28日】
春季神奈川県大会準々決勝(保土ヶ谷)

 神奈川県高野連のホームページのトップページには、注意喚起があった。

「チケット購入のために、前夜から並んだり、シートを張ったりしての順番取りはおやめください。多くのお客様の来場が予想されますので、スタンドの席取りをしないようご協力をお願いします」

 やはり、出足は早かった。JR保土ヶ谷駅で乗車したタクシーの運転手によると、朝6時過ぎからフル稼働していたという。午前10時の試合開始2時間30分前にサーティーフォー保土ヶ谷球場に到着すると、すでに当日券を求める観客であふれていた。

【第1試合】
慶應義塾高-横浜高

【第2試合】
東海大相模高-桐光学園高

 夏の神奈川大会第1シード、4強進出をかけた、神奈川春季県大会準々決勝である。

 一塁側場外にあるチケットボックスからの長蛇の列は、右翼方向へと何重にも伸び、さらに陸上競技場までおよそ500メートル。球場周辺は人でごった返し、開門は9時に設定されていたが、7時45分に前倒し。前日に組まれた準々決勝に続いて、外野芝生席も開放された。チケットを購入し、入場したファンは座席を確保すると、プレーボールを待ちきれない様子だった。


会場のサーティーフォー保土ヶ谷球場は、当日券を求めるファンで長蛇の列。右翼付近からサッカー場まで約500メートル伸びていた[写真=田中慎一郎]

 なぜ、ここまでの関心を集めるのか。神奈川県内のあるベテラン指揮官が明かす「四天王」が登場する、好カードが組まれていたからだ。

 昨夏の甲子園で107年ぶり2度目の全国制覇を遂げた慶應義塾高と横浜高の顔合わせは、昨夏の決勝以来。2点リードの9回表に逆転3ランを浴び、甲子園出場を目の前にして、無念の敗退(5対6)を喫した横浜高にとっては、リベンジマッチの位置付けである。

 第2試合も見逃せない。桐光学園高は昨秋の県大会優勝校で、関東大会8強。今年1月のセンバツ選考委員会では惜しくも漏れ(関東地区の補欠1位校)、夏への意気込みは相当である。2021年秋から母校を指揮する原俊介監督(元巨人)が率いる名門・東海大相模高との一戦は、好勝負が期待。高校野球ファンにとってはこの上ない、ぜいたくな1日である。スタンドは第1試合の開始前から、熱気に包まれていた。

文=岡本朋祐