2023−24シーズンのサンアントニオ・スパーズは、82試合のうち69試合を終えた時点でウェスタン・カンファレンス15位の15勝54敗と低迷。すでにプレーオフ出場の可能性が消滅し、5シーズン連続でプレーオフから遠ざかることとなった。

 さらに今シーズンの勝率21.7パーセントは、1996−97シーズンに記録した24.4パーセント(20勝62敗)を塗り替え、フランチャイズ史上ワーストで終えることになる見込み。

 とはいえ、このチームは昨年のドラフト全体1位指名でビクター・ウェンバンヤマという224センチのビッグマンを獲得しており、再建に向けた核となる選手を手に入れただけに、未来は明るくなったと言っていい。

 20歳の大物ルーキーは、平均29.1分20.7得点10.4リバウンド3.5アシスト1.3スティールにリーグベストの3.5ブロックを残し、新人王の有力候補となっている。

 その周囲にはデビン・バッセルやケルドン・ジョンソン、ジェレミー・ソーハン、トレ・ジョーンズという20代前半の若手がおり、条件付きながらドラフト指名権も保持していることから、来シーズン以降に再び浮上する可能性を秘めている。

 3月13日(現地時間12日)に地元メディア『SAN ANTONIO EXPRESS-NEWS』へ公開された記事のなかで、グレッグ・ポポビッチHC(ヘッドコーチ)は「私は我々がこの先なにをしていくか、分かったような気になってはいない。ただ、トレードやドラフト、金銭面などたくさんの可能性を秘めている。そうした選択肢がある」と話していた。

 スパーズは今シーズン終了後のドラフトやトレード、FA(フリーエージェント)戦線でウェンバンヤマを中心としたロスターを整備することは十分可能だろう。

 ただ、若手が今シーズン終了後から来シーズン開幕までに成長を遂げることができたとしても、ウェスト最下位からプレーイン・トーナメント参戦、あるいは6位以内に入ってプレーオフ進出を飾ることは並大抵のことではない。

 そのため、リーグ下位からプレーオフチーム、そして覇権争いへ参戦できるチームと化すためには時間を要する。もっとも、スパーズのフロントは再建がどれだけ大変なことなのかを理解しているため、ポポビッチHCとブライアン・ライトGM(ゼネラルマネージャー)にプレッシャーはないと指揮官は言う。

「もし再建には時間を要すると組織が理解していないと、絶対にたどり着くことはできない。その点、我々は常にホルト・ファミリーのリーダーシップの下でベストだと思うことをできるから幸運なんだ。ありがたいことにね」

 スパーズとしては、レギュラーシーズン残り13試合を戦い抜き、来シーズン以降にこのチームを担う選手たちを選定し、オフに備えたいところだ。