近年、NBAのみならずアメリカのメジャースポーツ界において加熱しているスポーツブック。スポーツの勝敗を予想し、当たれば配当をもらえる合法のスポーツ賭博を指すが、その影響が度を越している模様だ。

 3月21日(現地時間20日、日付は以下同)、クリーブランド・キャバリアーズはホームでマイアミ・ヒートと対戦。試合は104−107でキャブスの敗戦となったが、試合前のインタビューでJB・ビッカースタッフHC(ヘッドコーチ)が語った内容が話題を呼んでいる。スポーツ賭博について問われたビッカースタッフは、ギャンブラーから脅迫被害を受けたことを明らかにした。

「彼ら(ギャンブラー)は私の電話番号を入手し、私の住所や子どもたちに関するクレイジーなメッセージを送りつけてきた。(賭博がある以上)私たちは危険なゲームの中で、紙一重のラインを歩いていることになるのは間違いないんだ」

 脅迫を受けたのち、ビッカースタッフはセキュリティに通報。起訴には至っていないが、ギャンブラーの居場所を特定済とのこと。ビッカースタッフは、賭博によって「試合に余計な緊張をもたらしている」とコメントを続けた。

「それは試合に対する集中力を奪うものになり、選手、コーチ、審判をはじめ、リーグに関わる全ての人々にとってかなり難しい問題になっている。個人的には、ギャンブルを行う観客が試合にどれだけ近づいて良いものとするか、といったセキュリティに関しても厳重に警戒する必要が出ていると思っている。多くの場合、ギャンブルをする人はそのお金で光熱費や家賃を支払っており、それ故に試合結果に対して感情的になる。だからこそ、私たちは非常に微妙なラインを歩まされることになっていると思うし、関係者全員を守るために細心の注意を払わなければいけない」

 ビッカースタッフは、キャブスが勝利している試合であっても、賭けに外れているためにファンから怒号を受けたことがあることも明かし、「ばかげている」と怒りをあらわにした。スポーツ賭博のビジネスの側面についても理解を示した上で、「度を越している」と現状に苦言を呈している。

 また、3月9日にキャブスがミネソタ・ティンバーウルブズと対戦した試合では、ルディ・ゴベアがお金を数えるようなジェスチャーを審判に対して見せつけ、テクニカルファウルを受けている。このジェスチャーは八百長を連想させ、ギャンブルが試合そのものに対して影響を与えていると思わせかねないものであることから、リーグ最大額となる10万ドルの罰金処分を科せられている。ゴベアは「ギャンブルが試合を痛めつけているように感じる」とコメントしている。

 ビッカースタッフによる今回のコメントから、スポーツ賭博は試合に余計な緊張を生んでおり、既に関係者の身に危険が及んでいることが明らかになった。リーグの持続的な発展に向け、NBAがこの問題に対してどのような改善を図るか、注目が集まる。