お子さまの学習や生活習慣などについて、「時間をつくって子どもをフォローしなきゃいけないのに、全然できていない…」と焦ったり悩んだりしているかたは少なくないことでしょう。

今回は、そのような悩みを抱えているかたに向けて、教育ジャーナリストのおおたとしまささんにアドバイスをいただきました。

この記事のポイント

  • 「できていないこと」を気にするのではなく「できていること」に目を向けてみる
  • 人は不完全だからこそ愛おしい
  • 迷ったときの判断基準は「子どもの目が輝いているか」

「できていないこと」を気にするのではなく「できていること」に目を向けてみる

「本当はもっと子どもに寄り添っていろいろやってあげたいのに……」という思いを抱えながら、できていないことばかりを気にしていると、保護者のかた自身がつらくなってしまいますよね。

そんなときは、自分が「できていること」に目を向けてみましょう。
保護者の皆さんは、ご自身では気付いてなくても、実はちゃんとできていることもいろいろあるのではないでしょうか。

たとえば、日常の中でのこんなことです。

  • 子どもとテレビを見て一緒に大笑いできた。
  • 子どもが「おいしい!」と言ってご飯を食べてくれた。
  • 子どもが学校のことや友達のことを話してくれた。

コップに水が半分入っているときに、「半分しかない」と思うか、「半分もある」と思うかの違いに似ています。

保護者のかたご自身が「できていること」に目を向けて、「わたし、ちゃんとできていることもあるじゃん!」と自分のことを認められるようになると、心にだんだん余裕が生まれてきます。

心に余裕ができると、子どものいいところも見えてくるものです。

心に余裕がないときは、子どものできていないことが目に付いて、口うるさく注意してばかりだったのに、心に余裕ができると「うちの子は、ちょっと苦手なことはあるけれど、こんなにいいところもあるな」と、子どものありのままの状態を受け止めやすくなれるんです。
心の余裕はものの見方を前向きにするんですね。

子どものありのままを受け止められる保護者でいるために、保護者のかたは、自分で自分のご機嫌をとりましょう。自分で自分のご機嫌をとるのは、大人のたしなみです。

心のコンディションを整えるために、ときには子どもが学校に行っている間に、おいしいものを食べに行くなどしてリフレッシュするのもありだと思います。

人は不完全だからこそ愛おしい

そもそも、子どもに限らず人には誰にでも欠けているところはあるものです。

人はどこかに欠けているところがあって、不完全だからこそ愛おしいのであって、仮に完全無欠の人なんていたとしても、きっと友達にはなれませんよ。

みんな欠けているところがあるからこそお互いに支え合い、お互いを必要として社会はできているのだし、お互いに欠けているところがあるからこそ人は惹かれ合うのです。
あなたやあなたのお子さんの欠けているところは、きっと誰かにとっての魅力です。

まず大人が、自分自身や自分の子どもも含め、人の欠けているところを愛おしく感じたり、尊敬し合えたりできる感性を大切にしたいものですね。

迷ったときの判断基準は「子どもの目が輝いているか」

子育ての選択において迷うことがあったときには、まずは「子どもを見ること」です。

子どもが何かをしているとき、そのことに興味・関心が向いている場合には、子どもの目はとても輝いているものです。

ただし、目の輝きにもキラキラとギラギラの2種類あります。

純粋な気持ちで何かに本当に夢中になっているときは、目がキラキラしているはずです。一方、何か悪いものに心を支配されているとき、目はギラギラと輝きます。

たとえば、子どもがスマホやゲームをやっているとき、目がキラキラしているならば心配はありません。目がギラギラしているなら、何らかの方法で救い出してあげなければいけません。

最終的な決断は、子どもの目を見て行いましょう。

(取材・構成:春田真理子)

出典:
おおたとしまさ(2022)子育ての「選択」大全 正解のない時代に親がわが子のためにできる最善のこと KADOKAWA
おおたとしまさ(2024)学校に染まるな! ——バカとルールの無限増殖 (ちくまプリマー新書 444)
おおたとしまさ(2023)人生で大切なことは、ほぼほぼ子どもが教えてくれた。 (集英社文庫)