電動バイクを購入する際、国や自治体から補助金が出ることはあまり知られていないことかもしれません。さらに昨今は、電動バイク本体だけでなくバッテリーシェアサービスにも補助金が出ると言います。いったいどのような仕組みなのでしょうか。

知ってた!?バッテリーシェサービスの補助金制度とは

 2023年8月、ホンダから一般ユーザー向けモデルの電動バイク「EM1 e:」が発売されました。1回6時間の充電で約53kmの航続距離を実現しており、ガソリンバイクに比べて燃料代が安く済むので、次に買う時は電動バイクを検討しているという人も少なくないでしょう。

2023年8月、ホンダから一般ユーザー向けモデルの電動バイク「EM1 e:」が発売された
2023年8月、ホンダから一般ユーザー向けモデルの電動バイク「EM1 e:」が発売された

 ただ、ここで気がかりなのが購入代金が高いこと。車両本体にプラスしてバッテリーと専用充電器が必要になるので、どうしても現行の原付バイクと比べると割高になってしまいます。

 そんななか、国や自治体から電動バイクの補助金が出るのですが、実は昨今、電動バイク本体だけでなくバッテリーシェアサービスにも補助金が出るようです。

 では、電動バイクの補助金とはどのような仕組みなのでしょうか。

 電動バイクの補助金とは、環境にやさしい新車への買い替えや購入を促進する取り組みのひとつ。環境対策を効果的に実現するため、環境にすぐれた車両を購入するときに必要な費用の一部を国や自治体が補助してくれます。

 国からは、次世代自動車振興センターから受けられる「クリーンエネルギー自動車導入補助金」というもの。もう一つが自治体からで、例えば東京都のケースでは、東京都地球温暖化防止活動推進センターからも助成金が受けられます。

 補助金は購入代金から割引されるわけではなく、申請しなければ受け取ることができません。電動バイクを購入後、それぞれホームページからオンラインで申請することができ、指定した銀行口座に補助金が振り込まれるしくみです。

 たとえば、東京都でホンダのEM1 e:を購入した場合の補助金は、国からは2万3000円で、東京都からは3万6000円となり、合計で5万9000円の補助金を受け取ることができます。

ホンダモバイルパワーパックe:の価格(税込) 10万8900円、充電器のホンダパワーパックチャージャーe:の価格(税込)5万5000円
ホンダモバイルパワーパックe:の価格(税込) 10万8900円、充電器のホンダパワーパックチャージャーe:の価格(税込)5万5000円

 EM1 e:の価格は、車両本体が15万6200円、バッテリーのホンダモバイルパワーパックe:が10万8900円、充電器のホンダパワーパックチャージャーe:が5万5000円で、合計で32万100円(税込)となっています。補助金を使うことで、実質26万1100円(税込)で購入することが可能です。

 また、予備のバッテリーをもう一つ購入する場合はそのぶん補助金が上乗せされ、国からは4万3000円、東京都からは9万6000円となり、合計で13万9000円の補助金を受け取ることができます。つまり、バッテリーを2個購入すると、東京都からもらえる補助金が6万円も差があり、予備バッテリーなしで購入するよりも、国と東京都の補助金と合わせて8万円もの差が出るのです。

 バッテリーだけで10万円以上もするので、予備バッテリーを買うのをためらっていた人も、補助金を使えばお得に電動バイクを購入することができます。

 さらに、電動バイクのバッテリーシェアサービスを利用した場合も、同額の補助金を受けることができます。バッテリーシェアサービスは、15万6200円の車両本体だけを購入すればよいので、高額なバッテリーと充電器をわざわざ購入する必要はありません。東京都のケースであれば、国と東京都からの補助金5万9000円を差し引けば、実質9万7200円で電動バイクに乗ることができるというわけです。

 ホンダのガソリン車の原付バイクの最安値は「タクト」で17万9300円(税込)なので、半値に近い価格で電動バイクを購入することができることになります。電動バイクは高いとあきらめていた人も、バッテリーシェアサービスと補助金を使えば、乗り始めるハードルをグッと抑えることが可能です。

エネオスと国内二輪メーカー4社によって設立された「Gachaco」によるサービスとは?

 バッテリーシェアサービスは、2022年4月1日にエネオスと国内二輪メーカー4社によって設立された「ガチャコ(Gachaco)」によるサービス。街中に設置されたGachacoステーションで気軽に充電済みのバッテリーと交換できるので、充電切れを心配することなく電動バイクを利用できます。

2022年4月1日にエネオスと国内二輪メーカー4社によって設立された「ガチャコ(Gachaco)」
2022年4月1日にエネオスと国内二輪メーカー4社によって設立された「ガチャコ(Gachaco)」

 これまでは法人限定のサービスでしたが、EM1 e:の発売を受けて個人向けのサービスが2024年1月からスタートしました。ちなみにサービスを利用するには、「ライトプラン(月会費1078円)」または「スタンダードプラン(月会費2805円)」に契約する必要があります。月会費にプラスして使用電力あたりの従量課金を使った分だけ支払うしくみです。

 ライトプランの場合は、従量課金198円/kwh相当となり、EM1 e:の走行単価は約6円/kmの試算になるそうです。スタンダードプランの場合は、プランの中に15kwh相当の電力使用量が含まれています。これは「BENLY e:I」で約400km走行できる電気量に値するそうで、これを超えた場合は、従量課金187円/kwh相当となり、従量分の走行単価はBENLY e:Iで約6円/kmになるそうです。

 バイクを使った分だけバッテリー費用を支払えばOKなので、無駄なくサービスを利用することができます。しかも、走行距離に応じて2つのプランが選べるのも嬉しいポイント。またガチャコサービスを利用した場合に心配になるのが、バイク購入時の販売店からの移動です。バッテリーを購入する必要がないため、納車したあとの電源をどうすればよいのか不安になるかもしれません。

 しかしその点は、バイクを購入する前にガチャコサービスにあらかじめ契約しておけば、バッテリーを販売店に送ってもらえるので、納車時も安心して乗り始めることができます。

Gachacoステーションは令和6年5月の段階で、全国に53基が稼働中
Gachacoステーションは令和6年5月の段階で、全国に53基が稼働中

 なお、Gachacoステーションは令和6年5月の段階で、東京エリアに45基、大阪エリアに7基、埼玉エリアに1基が設置され、全国で53基が稼働中です。

 このようにガチャコサービスは、電動バイクの補助金のサポートによって利用の拡大が期待されています。今後も東京都や大阪府など利用率の高いエリアを中心に事業展開をおこない、着実に設置場所を増やしていく模様です。
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 バッテリーシェアサービスと補助金を使えば、電動バイクを格安で購入することができます。電動バイクの魅力は、何と言ってもランニングコストの安さです。

 全国的にみれば、バッテリーの交換場所はまだまだ少ないイメージですが、住んでいる地域によっては電動バイクを選んでみるのもアリかもしれません。