受刑者が作る異色のフリー素材サイトがあまりの人気でアクセスが殺到。サーバーダウンの状態が続いています。

サーバーダウン前の「いらすと本舗」(Internet Archiveより) / Via web.archive.org

素材の9割は受刑者が描いた異色のフリー素材サイト「いらすと本舗」

そのサイトの名前は「 いらすと本舗 」。サイト内の 紹介文 によると、山口県美祢市にある刑務所「美祢社会復帰促進センター」で受刑者が刑務作業の一環として制作したフリー素材のイラストや背景絵を掲載しているそうです。
受刑者に「人に喜んでもらっている」「必要とされている」「頑張れば経験のない自分でもこれだけの物が出来るんだ」を体感し、社会復帰後に経験を活かすことが目的です。
「いらすと本舗」のサイトは、同刑務所で受刑者への絵の指導を行っている美祢市出身の漫画家・苑場凌(そのば・りょう)さんが管理しています。
GENSEKI などによると、当初は受刑者が絵が漫画の背景用のイラスト素材を販売する「漫画家本舗」を運営していましたが、売れ行きが伸び悩んだことから、2023年にフリー素材サイト「いらすと本舗」を立ち上げました。ここにあるイラストの9割は受刑者が描いたものだそうです。

Internet Archiveで3月時点の人気イラストを見ると「ファミレス店内」「渡り廊下と体育館」といった一般的な物から、「落ち込む婦警さん」「スイカの切り身」「パンツ」といったちょっと変わり種まで、さまざまな素材がそろっています。

「いらすと本舗」のトップページに掲載された2024年3月時点での人気イラスト(Internet Archiveより) / Via web.archive.org

サーバーダウンした経緯とは?「無念じゃせっかく皆々様方に訪問してもらえるというのになんという不手際」

「いらすと本舗」がブレイクするきっかけとなったのは、3月28日にあるX(旧Twitter)ユーザーが「おい!!!!原稿抱えて走ってる同人フォロワー!!!!ここ!!!ここぉ!!!全部無料だッッッ!!!!!」と同人誌を作っている人々に呼びかけたことでした。
この投稿は約4万4000件もの「いいね」を集めるなど、X上で大きな反響を呼びました。
💬「これ更生作業の一環なの????!すご」
💬「こんな安心感のある素材サイトなかなかないから助かります」
しかし大人気となったことが、思わぬ余波が……。「いらすと本舗」のサーバーがダウンしたのです。
苑場さんは3月29日、「サイトへのアクセスが集中している中、更新をいたしたら」サーバーエラーが起きたとXで報告しました。「無念じゃせっかく皆々様方に訪問してもらえるというのになんという不手際」という文章が付いた切腹する武士のイラストも添付しています。
続く投稿で「同時接続数の上限を超えたこと」が理由と明かしました。

4月2日には「容量の大きいプランに移行を進めています。もうしばらくお待ち下さい」と報告。「バズった事を彼らに報告がてら、警務作業指導してまいります」と刑務所近くの写真を投稿しました。
新しいサーバーでの復活が待ち遠しいですね。

【UPDATE】

苑場さんが4月4日、「いらすと本舗」のサーバーが復活したことをXで報告しました。