しかし、遊んでいるうちに羽をむしってしまい、それを前足で持ち上げるような動きをし始めたのが、映像の冒頭シーン。とても軽い羽だったため、興奮して後ろ足で立ってしまったことが二足歩行に繋がった一方、捕まえた羽を離したくないムギちゃんは前足が使えない状態で歩行。そのタイミングでバランスを崩してしまったことから、でんぐり返しに繋がったのではないかと考えられるそうです。

初めて見た光景に飼い主さんは、「撮影しながらムギの様子を見ていて、笑いをこらえるのに苦労しました。率直な感想は”ネコってでんぐり返し出来るんだ…”です。おかしいのと、微笑ましいのと、驚くとの混ざったような感想です。」と当時の状況を振り返ってくれました。

そんなムギちゃんが、桐屋旅館にやってきたのは昨年のこと。村内で居酒屋を経営している知人から、「お店の裏手で毎年ネコが産まれているけれど、野良ネコにするのは可哀そうなので、捕まえられたら旅館に持ってきて良いか?」とお願いされたのがきっかけ。当初は捕獲できなかったことから中々実現に至らなかったものの、昨年になり、親からはぐれてカラスに突かれそうなところを無事保護され、連れて来られたのがムギちゃん。

保護された時はとても小さく弱っていたので、友人の子ネコを育てるのが得意な人に1カ月ほどお世話を依頼し、9月の上旬頃にようやく桐屋旅館へお迎えすることができたのだとか。今ではすっかり元気になって、旅館のネコスタッフとして、お客さんの接客に努めていると言います。

その後も桐屋旅館では、新たに3匹の猫スタッフが仲間入りし、現在では9匹もの猫たちが生活。旅館を営みながら猫のお世話をするのは苦労が多そうな気もしますが、その点については「性格もそれぞれなので、大変さは少々感じますが、元来家族も自分もネコ好きなので、苦労はあまり感じられません。ネコが好きで、また我が家のネコ達に会いに来て下さる方々が居て、とても幸せだと思います。」と、苦労を補って余りある幸福をもたらしてくれている様子が伝わってきます。

一方、コロナ禍においては「宿泊業はとても打撃を受けましたが、我が家のネコ達に癒され救われました。今ではネコ達が招き猫になって、お客さまを招いてくれています。」と、深刻な時期もあったそうで、そんな中でも一緒に乗り切ってきた家族のような存在であることを告白。最後に愛猫たちへの思いについて聞いてみると「健康でストレス無く、長生きして欲しいといつも願っています」と、愛情たっぷりに語ってくれました。