動画流通プラットフォーム「Roadstead」のオリジナル作品第1弾「Chime」の記者発表が8日、東京都内で行われ、同作を手がけた黒沢清監督(68)がトークショーに登壇した。

 第74回ベルリン国際映画祭ベルリナーレ・スペシャル部門に正式招待を受けた同作は、ホラーでもサスペンスでもない奇妙な恐怖を描く。

 黒沢監督は「1つは幽霊の怖さ、もう1つは自分が人を殺してしまう、つまり法律を犯して自分が犯人になってしまうのではないかという怖さ。そして警察に逮捕されるのではないかという、法律や秩序の側が自分を襲ってくるという怖さ」と説明。「幽霊と人を殺すことと警察と3つの怖いっていうのを、たった45分でやれないだろうかというのが、そもそもの発想」と制作経緯を明かした。

 同作は映像作品を「消費する一過性のコンテンツ」ではなく「コレクションする価値ある資産」として扱う、世界初の動画流通の枠組み「DVT(デジタル・ビデオ・トレーディング)」のプラットフォーム「Roadstead」で4月12日から展開される。

 黒沢監督は「こういう新しい試みは回り回って絶対に映画にとって、すべてプラスになると思う」とコメント。続けて「よく『こんなものが出てきたら映画はどうなっちゃうんだ』って不安がる方はいるんですが、少なくとも僕が生きてる間ぐらいは、その程度で映画はめげません。むしろそういうものを取り込んで、より豊かになっていくはずだと信じています」と力を込めた。