◇28日 センバツ高校野球大会準々決勝 報徳学園4―1大阪桐蔭(甲子園)

 プロ注目の最速150キロ右腕、報徳学園(兵庫)の今朝丸裕喜投手(3年)が大阪桐蔭を5安打1失点、5奪三振で完投し、昨春に続くベスト4進出に貢献した。最後の打者を一塁ライナーに封じると「よっしゃー!」と叫んだ。

 「秋のリベンジというところは果たせたと思います。秋やられた分、取り返そうと強い気持ちでマウンドに立ちました」

 昨年もセンバツも経験し、秋は近畿大会で大阪桐蔭に敗戦。そこから肉体改造に取り組んだ。72キロだった体重はひと冬を越えて、一時期は80キロまで増えた。甲子園では79キロ。増量に成功して「ボールの強さが変わった」と実感する。

 立ち上がりの不安定さを課題に挙げる今朝丸は初回、先頭の境に左前安打され、送りバントで1死二塁となったあと、3番の徳丸を内角高めのストレートで空振り三振。先制点を許さなかった。

 チームメートの守備にも感謝した。8回に1点を返され、1点差。なおも2死一塁で、大阪桐蔭の一塁走者・吉田が負傷した。その臨時代走が俊足の境で、捕手の徳田が二盗を阻止した。昨春センバツでも1学年上の強肩捕手、堀(現オリックス)が大阪桐蔭の二盗をさして、勝利に貢献した。2季連続で機動力を封じたことも大きかった。

 エースナンバーは主将の間木がつけるが、背番号「10」が113球で完投。「完封したかったんですが。きょうは自分が一人で投げきるつもりでした」と笑みを浮かべた今朝丸。30日の準決勝の相手は中央学院(千葉)。「きょうが大きなヤマ場と思っていました。きょう勝ち抜くことができたので、日本一を取るぐらい強い意識を持って戦っていこうと思います」。2002年以来、22年ぶりとなるセンバツ優勝へ導く決意を口にした。