◇14日 春季高校野球愛知県大会2回戦 豊川11―1岡崎工科(6回コールド、豊橋市民)

 今春センバツに出場した豊川は、14安打11得点の猛攻で6回コールド勝ち。プロ注目の主砲、モイセエフ・ニキータ外野手(3年)は3打数3安打、2打点で、1死球を含め全4打席で出塁した。

 初戦から全開だ。モイセエフが安打、二塁打、死球、三塁打と全打席で出塁。1回の先制打を含む2打点をマークし、打線に活気をもたらした。

 「甲子園では受け身になってしまった。きょうは初回から攻める野球をしようという中で、最初に2点取れたことが大きかった」と笑みを浮かべた。センバツでは、1回戦で阿南光(徳島)に4―11で敗戦。4打席目で大会1号となる本塁打を放ったものの、3三振を喫するなど他の4打席は凡退。勝利に導けなかった。

 甲子園の敗戦から約1カ月。練習試合で本塁打はなく、「調子を崩して3日前まで打てなかった」というが、春季県大会に向けて黙々とバットを振り込んできた。調子の良しあしに左右されず「大会になったら自信を持ってスイングをするだけ」と迎えた一戦だった。

 1回無死一、二塁から先制右前適時打を放つと、3回1死では右前へポトリと落ちる二塁打で好機を演出。6点リードの6回無死二塁では、右中間フェンス付近に適時三塁打を放った。長谷川裕記監督(30)も「調子を落としていたのに、大会ではなんでこんなに打つんだ」とうれしい誤算に目を細めた。

 甲子園の悔しさを甲子園で晴らすために。まずは夏の前哨戦となる県大会で頂点を目指す。「目の前の敵を倒していくしかない。全打席打ってやろう、という気持ちです」とモイセエフ。昨秋の公式戦17試合で打率5割7分6厘を残した男が、春も衝撃の記録を残して夏まで駆け抜ける。