米紙ピッツバーグ・ポストガゼット紙は22日(日本時間23日)、自身がプレーするNBAに賭けたことで永久追放処分を科された元ラプターズのFWジョンテイ・ポーターは「プロスポーツと営利ブックメーカーの結び付きによる犠牲者だった」と報じた。

 同紙は「耳を疑うかもしれないが、スポーツ賭博で勝ち続ける者にとって最も難しいのは『賭け続ける』ことだ」と指摘。実際、ベットMGMなどの大手ブックメーカーで何度か勝ち続けると、賭けられる金額が5ドル(約780円)以下にまで制限されるようになると指摘した。「ブックメーカーの経営戦略は非常に単純だ。『賭けに勝つカスタマーを絞り、負けるカスタマーを増やす』。コンスタントに勝つカスタマーは賭けること自体さえ許されなくなる」

 さらには、勝ち続けること自体が至難の業だという。ブックメーカーで賭ければ手数料が発生する関係で「『スポーツに賭けるうちの53%を的中させれば利益を得られる』という事実は広く知られているが、スポーツ賭博のハンディを設定するプロで最高レベルの『ハンディ師』でさえも、この53%をほとんどクリアできないのが現実だ」

 「一方、敗者は大歓迎。負ける者はどんどん賭けさせる。ラスベガスで負け続けると、ビュッフェの食事券やプロスポーツのプレミアチケット、無料のリゾートホテル宿泊などがサービスされる。水原一平に聞いてみるといい。合法だろうと違法だろうとブックメーカーの手法は同じ。水原は3年間で4000万ドル(約62億円)負けても、賭けを継続できた。それこそが1万9000回も賭けられたカラクリだ。水原は全ての合法ブックメーカーにとって『夢の顧客』だった」「合法ブックメーカーのドラフトキングスやファンデュエルなどが設立されたのは営利目的。長けていることで利益を得る。それは敗者をターゲットにすることだ」

 近年、これらの合法ブックメーカーと大リーグやNBAなどのプロスポーツ界は次々に手を結んでいる。大リーグ機構は2018年にラスベガスのMGMリゾーツと公式パートナーシップ契約を締結。昨年3月は前述のファンデュエルと複数年のパートナーシップ契約を結び、「MLB公式スポーツ賭博パートナー」と発表した。

 同紙は、この両者の「結託」こそが元凶だとした。「合法ブックメーカーとパートナー(NBAや大リーグなど)は、元金と勝利額をそっくり次の賭けにつぎ込むような敗者を毎日取り込みつつ、責任を取ることは一切しない」「ポーターは敗者を食い物にする腐敗した邪悪なシステムのスケープゴートだ。スポーツとギャンブルにおける偽善はこれまでにないレベルで高まっている」

 「2012年に4大プロスポーツリーグ(大リーグ、NBA、NFL、NHL)はニュージャージー州のスポーツ賭博合法化を阻止しようと告訴した。そのわずか2年後、シルバー(NBAコミッショナー)はニューヨーク・タイムズ紙でスポーツ賭博に賛同する論説を寄稿。そして今回、自らポーターに鉄ついを下した。シルバーよ、いったい道理はどこにあるのだ?」

 ドジャース・大谷翔平の通訳だった水原一平容疑者は12日(日本時間)、銀行詐欺容疑でロサンゼルスの連邦地裁に出廷。保釈金2万5000ドル(約388万円)で保釈が認められた。米連邦検察の告訴状によれば、違法スポーツ賭博で約4100万ドル(約63億6000万円円)の負けを抱え、大谷の銀行口座から少なくとも1600万ドル(約24億8000万円)をブックメーカーに不正送金した。