中日・高橋宏斗投手(21)が28日に本拠地で行われる広島戦で今季初登板することが決まった。26日にバンテリンドームナゴヤで行われた先発投手練習に参加した右腕はマウンドからピッチングし、着々と準備。開幕2軍スタートとなった鬱憤(うっぷん)を晴らす舞台がやってきた。27日の同カードでは梅津晃大投手(27)が先発する。 いよいよ、高橋宏の2024年シーズンが幕開けする。春季キャンプからパフォーマンスが上がらず、宣言していた開幕投手どころか2軍暮らしが続いていた。しかし、ウエスタン・リーグで4試合に登板して3勝1敗、防御率0・93。圧倒的成績を残して今季初めての1軍マウンドに立つ。

 「いろいろな思いがあります。僕は2軍で野球するためにプロ野球選手をやっているわけではありません。ですが、現実は2軍。野球をやってきてこれほど悔しいことはありませんでした。チームが勝てるように頑張ります」

 気持ちもフォームも引き締めた。リリース直前に体全体が緩むようになっていたのは腹圧を意識して修正した。開きや横振りから来るリリースの高さはグラブの位置など全てを意識して変えた。「回転数を含めたデータも良くなりました。リリースの位置が高くなったのは分かりやすい変化です」。自信を持ってマウンドへ上がる。

 悔しかった。2軍降格は3月16日、オープン戦の阪神戦(バンテリン)後。3イニングで73球。初回、中軸へ2連続四球を与えるなど精彩を欠いた。試合後、柳に誘われて焼き肉店へ。カウンターで並び、タブレットを取り出す。直近3年間の投球動画を見比べた。1軍デビューイヤーで6勝7敗だった22年。ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で世界一を奪還して始まった23年シーズン。そして、今年―。「アドバイスをもらいました」。先輩右腕と過ごした3時間半。「夜7時から10時半です」。はっきり覚えているという。

 現実を受け止めて理論を追求し、最後は根性。今月中旬、1週間で両翼のポール間走を120本もこなした。通常なら週に10本。「すぐに1軍とはならないと思って、もう1度下半身を鍛えました」。やるだけやった自負がある。20日のウエスタン・リーグ、オリックス戦(ナゴヤ)では7イニングを投げて3安打2失点。昇格を待った。