◇1日 中日1―12DeNA(バンテリン)

 中日の涌井秀章投手(37)が1日のDeNA戦(バンテリンドームナゴヤ)でプロ初の屈辱的なKOを食らった。立ち上がりに先頭から6連打を浴びるなど、打者一巡で9失点。自己ワーストの2/3イニングで降板した。開幕から安定した投球を続けていた大ベテランのまさかの大乱調。反撃も細川成也外野手(25)の7号ソロ本塁打による1点のみにとどまり、チームは1―12の大敗。4月4日以来となる借金生活に突入してしまった。 “ホームランキング”が意地の一発で一矢報いた。序盤での大量失点で重苦しい空気に包まれたバンテリンドーム。4番に座った細川の一振りが、ファンに笑顔をもたらした。

 0―12で迎えた4回。DeNAの先発左腕・石田健の低め直球を豪快に振り抜いた。高々と上がった打球は長い滞空時間を経て、左中間スタンドへ吸い込まれた。美しい放物線を描いた7号ソロに、消沈していた竜党から大歓声がわいた。

 「少しタイミングが合っていなかったので最後はそこを意識しました。しっかり捉えられた」。5月に入って最初の試合で飛び出した豪快な一発。チームが大敗しただけに言葉は弾まない。

 5月は細川にとって縁起のいい月だ。現役ドラフトで加入した昨季は、ホームランが出始めたのは5月から。月間打率3割6分、5本塁打とプロ7年目で一気にブレークを果たした。初の月間MVPまで獲得し、そのままシーズン24本塁打と竜の新大砲としての橋頭堡(ほ)を築いた。

 野球に対するひた向きな姿勢は“師匠”にも刺激を与えている。2022年からオフの自主トレは楽天・浅村に師事。グラウンドでの練習後は黙々とウエートトレーニングを積んだ。昨季3年ぶりに本塁打王に返り咲いた浅村をして、「自分の中でも『きょうはもういいかな』というときでも彼はウエートをやっているから、自分も付いていこうと。去年の活躍も、彼を見て頑張れた所もある」と言わしめた。