◇5日 ヤクルト3―6中日(神宮球場)

 中日は連敗を3で止め、1日で最下位を脱し4位に浮上した。 今年も神宮に石川昂弥が健在だ。4回に今季1号となる先制アーチを放った。プロ初本塁打を放った2022年から3年連続でシーズン初本塁打が神宮で飛び出した。

 第2打席だった。ヤクルトの先発・小沢のフルカウントから6球目のフォークを完璧に捉えた。左中間に飛んだ打球はそのままスタンドイン。4月25日に1軍昇格し、今季15打席目で初アーチが飛び出た。「コンパクトにうまく打つことができました」。1軍での本塁打は昨年9月12日のDeNA戦(横浜)以来。7回の第4打席は中前打で今季初の複数安打。3度目のスタメン起用に応えた。

 神宮ではプロ3年目の22年4月にプロ初本塁打を放つと、昨季も7月に球団通算本塁打9000号を放つなど縁起の良い球場。昨季は打率3割7分5厘、5本塁打とセ・リーグ球場別で最も良い数字を残した。

 しかし、プラスのイメージばかりではない。昨年8月19日。初回に先制2ランを放つも、7回に木沢が投じた内角高めのシュートが左側頭部を直撃した。意識はあったものの、担架で運ばれた。その残像はシーズン終了まで消えず。狙っていたはずのボールをよけてしまう自分がいた。「体が固まって、打つべきボールを打てなくなっていました」。1軍に復帰後、本塁打は1本のみにとどまった。

 内角攻めはホームランアーチストがたどる宿命。乗り越えなければ、道は開けない。あの日以来となる神宮での一発は、しっかりためをつくって、踏み込んで打った。