◇6日 DeNA6―5ヤクルト(横浜スタジアム)

 打ち上げた打球が5年前と同じように右翼スタンドに落ちていった。復帰戦に臨んだDeNAの筒香嘉智外野手が2点を追う8回2死一、二塁で起死回生の逆転3ランを右翼席にたたき込んだ。チームを劇的な勝利に導き、ファンの大歓声を浴びた。

 「まだ点差があったので、強い打球を打つことを心掛けました。感触は入るかなと思いました」。柵越えを見て右手を突き出し叫んだ。「何を言ったか? そんなん覚えていませんよ」。新しい仲間がベンチから飛び出しジャンプして歓喜した。

 気配はあった。7回1死で迎えた第3打席は、左中間のフェンス最上部を直撃する二塁打を放ち、復帰初安打、初長打とした。ベンチに戻ると「ご飯をもっと食べろ」といじられたという。合流からわずか6時間でチームに溶け込んでいる証しだった。

 米国のマイナーリーグで苦労した。日本との最も大きな違いはファンの少ない球場でプレーするもどかしさ。「これだけのファンの皆さまの前でプレーできることは本当に幸せ。特別な時間でした」。感謝の言葉を何度も口にした。3万3284人が筒香の守る左翼にボールが飛ぶたび、声をからし、本塁打にほおをぬぐった。夢の再現だった。

 チームも借金を返済し、4月14日以来の勝率5割復帰。三浦監督からも「さすがです。試合までみんなの前であいさつするときは緊張していたけど、試合後はもうすごいことなっているよ」。ベテランの加入でチームのロッカーは一体感が増した。