韓国で仮想通貨を巡る陰惨な殺人事件が発生したことを受け、韓国の国会議員たちは厳格な仮想通貨規制の法制化を加速させている。

5月18日のブルームバーグ報道によると、3月29日に韓国・ソウルで40代の女性が誘拐され、その後殺害される事件が発生した。この事件は、仮想通貨関連の損失を巡るいざこざが原因だったという。韓国では昨年5月のド・クォン氏が率いるテラの崩壊をはじめ、多くの仮想通貨関連のスキャンダルが続いており、今回の事件もこれに加わることとなった。


この殺人事件を受け、韓国の国会議員たちは、今月後半に国会で投票にかける予定の仮想通貨法案の作業を加速化させている。

「ようやく両党が、できるだけ早く法律を整備する必要があるという認識で一致した」と、野党「共に民主党」のパク・ヘリュン議員はブルームバーグに語った。「問題が多すぎたため、まず投資家保護に焦点を当て、迅速に進める必要があった」と彼女は付け加えた。

新たな法案は「仮想資産利用者保護法案」と呼ばれており、19の異なる仮想通貨関連の施策を1つの法案にまとめている。

ブルームバーグが入手した法案の草稿によると、この法律は暗号資産の明確な法的定義を示し、インサイダー取引や市場操作などの違反行為に対する罰則を課す。さらに、新しい法案は、韓国の金融サービス委員会に仮想通貨企業や資産の保管を監督する権限を与える。

また、デジタル資産企業には、ハッキングから自社を守るための保険を取得することや、準備金や口座管理に関する厳格なルールが求められる。これらのルールは、ビットコインなどの仮想通貨に適用される一方、政府が証券とみなしているトークンには、既存の資本市場法が適用される予定だ。