柄本佑、町田啓太、渡辺大知、そして金田哲──。NHK大河ドラマ「光る君へ」で話題を集める“藤原4人衆”の顔ぶれだ。それぞれの配役は、柄本が藤原道長、町田が公任(きんとう)、渡辺が行成(ゆきなり)、金田が斉信(ただのぶ)となっている。

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 4人とも平安貴族を演じて評判になっているわけだが、中でも金田は普段、お笑いコンビ「はんにゃ.」でボケを担当している。好演を意外に思った視聴者は多いようで、Xでは「演技がうまい」「平安貴族感あってよい」といった多数の賛辞が投稿されている。

 民放キー局でバラエティ番組を制作しているスタッフは、「以前から金田さんは、大河出演を夢の一つとして挙げていました。今回の『光る君へ』で実現したことになります」と言う。

「吉本興業の中で、金田さんのライバルはNON STYLEの石田明さんと見られています。実は石田さんも役者の仕事が少なくなく、舞台、ドラマ、映画と実績を重ねています。金田さんも大河デビューを果たしましたから、今後は俳優のオファーも増えていくでしょう。板尾創路さんや藤井隆さんのように、俳優業がメインとなっても不思議ではありません」

 業界関係者に強いインパクトを与えたのは、2022年9月に公開された映画「ヘルドッグス」だったという。

原田監督との縁

 深町秋生氏の小説『ヘルドッグス 地獄の犬たち』を原田眞人監督が映画化。金田は「ケンカは弱いが、金稼ぎが得意なインテリヤクザ」を演じ、鮮烈な印象を残した。

「金田さんがはんにゃ.でデビューしたのは2005年、当初はアイドル的な人気がありました。そのため、08年には新垣結衣さん主演の映画『フレフレ少女』、10年には川島海荷さん主演の映画『私の優しくない先輩』に出演しています。ただ、役者として認められるようになったのは、原田作品に出演してからでしょう。『ヘルドッグス』の前年、21年に公開された『燃えよ剣』に抜擢され、新選組・八番隊組長の藤堂平助を演じました。これが大河のスタッフに注目されたきっかけだと思います」(同・スタッフ)

 原田監督は俳優の演技指導に定評があるという。1999年の「金融腐蝕列島〔呪縛〕」では遠藤憲一、2008年の「クライマーズ・ハイ」では堺雅人、18年の「検察側の罪人」では酒向芳(さこう・よし)の演技が絶賛された。

吉本の危機感

「きっと原田監督は、はんにゃ.のライブに足を運んでいると思います。ちゃんと自分の目で確かめる監督として有名ですし、だからこそ金田さんの素質に気づいたのでしょう。正直なところ、今、バラエティ番組に金田さんの席はありません。このまま俳優として研鑽を積むのは、金田さんだけでなく吉本にとってもプラスだと思います」(同・スタッフ)

 最近の吉本は危機感を覚えているという。ライバルの人力舎が、ドランクドラゴンの塚地武雅、アンジャッシュの児嶋一哉、そして東京03の飯塚悟志、角田晃広、豊本明長……と芝居の上手い芸人を揃え、事務所を活性化させているからだ。

「ワタナベエンターテイメントに所属するハナコの岡部大さんの演技も定評があります。所属芸人が様々な“引き出し”を持っていれば、バラエティ番組だけでなく映画にドラマに舞台にと、様々な機会を捉えて売り出すことができます。吉本も同じ路線に力を入れており、『光る君へ』にはロバートの秋山竜次さんも出演しています。役者としての金田さんは『使い勝手がいい』と評判ですし、若手ですからギャラもそんなに高くはありません。大河出演をきっかけに、今後、民放のドラマにもどんどん出演すると思います」(同・スタッフ)

相方も名優!?

 金田ばかりにスポットライトが当たっているが、テレビ業界では相方の川島章良にも秘かな注目が集まっているという。

「実のところ、お笑い芸人としてはかなり厳しいと思います。金田さんでさえ戻る席がないわけですが、川島さんとなるとなおさらです。ところが、まだブレイクはしていないものの、川島さんもなかなかの演技力です。映画、ドラマ、舞台、いずれも出演回数は少ないですが、相方の金田さんがブレイクしたのをうまく利用して、同じように役者路線に転向すれば、実力を発揮できるかもしれません」(同・スタッフ)

デイリー新潮編集部