グラビア業界の出来事を、グラビア評論家の徳重龍徳が振り返る連載「上善は水着のごとし」。今回は2024年にグラビアでの活躍が期待される奥村梨穂(20)をインタビュー。昨年SNSでその水着姿がバズり、“神ボディー”とまで言われる超逸材が「大きすぎる」ゆえの悩み、そしてグラビアへの思いを明かしてくれた。

 Z世代に人気の「BeReal」というSNSをご存知だろうか。特徴はInstagramなどと違い写真を「盛る」ことができないことで、リアルさを共有できることが人気となっている。逆に広告など自分たちを狙ったものを毛嫌いするのもZ世代の傾向だ。飾らず、狙わずが好まれている。

 奥村梨穂を注目のグラビアアイドルに押し上げたのも、そんな飾らず、狙わずの動画だった。昨年8月、水着で出演したイベントの終了後に何気なく上げたファンへの感謝を伝える動画がX上で2万いいねを超えるほどバズった。顔よりも大きい胸がSNSユーザーを釘付けにしたのだ。

「あれはただ『ありがとうございました』と感謝をいうだけの動画だったんです。Xにアップしたら初めて万バズして、同じ動画をTikTokにも載せたらそれも評判になりました。あの動画でX、TikTok、Instagramの全部のフォロワーが1万人以上増えました。軽い気持ちであげたのがよかったのかもしれないです」

 この逸材をグラビア業界が放っておくわけがない。昨年11月「週刊プレイボーイ」で初グラビアを飾ると、「週刊ヤングマガジン」「FLASH」「FRIDAY」など各誌のグラビアを席巻した。サイズは「I」だという胸は中学生くらいから大きくなったといい「今もどんどん大きくなってます」とまだまだ成長中というから末恐ろしい。

グラビアでは武器になるが…

 グラビアでは武器となる胸だが、日常生活では苦労も多い。

「ピチピチの服を着ると太って見えるし、普通の店では自分に合う下着が売っていなくて。この間、母が海外サイズのものをやっと探してくれました。海外の下着は高いんですけど、グラビアをしたいからちゃんとしたものをつけてます。あと重くて肩こりがひどいです。だから胸をテーブルに載せちゃいますし、最近は楽だから腕を組んでそこに載せて歩いてます」

 熊本出身の20歳。小学生の頃にNHKで放送されていた「ビクトリアス」「アイ・カーリー」と海外のコメディドラマが好きで、芸能界に憧れた。高校時代は色々な事務所のオーディションを受けるも落選。やっと合格したのが現在の事務所だった。

 高校卒業とともに上京し、事務所がスタートさせたアイドルグループ「IIIIIIIDIOM」(イディオム)のメンバーとしてアイドル活動をスタートさせる。

「アイドル時代は胸が邪魔で衣装が入らないので、衣装チェンジが出来なかったです。たまにメンバーと衣装交換みたいな時があったんですけど、私はみんなの衣装が着られないので、だから一人だけ自分の衣装のままでした(笑)」

家族全員がグラビアに賛成

 アイドルグループメンバーだったこともあり、水着の仕事を初めてしたのは昨年3月のTGIF が初めてだった。ただ奥村自身は自分の武器になることにも自覚的で、ずっとグラビアをしたかったのだという。

「グラビアはずっと夢でした。実は高3の時にグラビアのオーディションを受けましたが落ちてしまいました。送った水着の写真がよくなかったと思いますが、当時は『なんで大きいのをわかってくれないんだろう』と思ってました。母はずっと『グラビアをしたら』と言ってくれていて、家族全員私がグラビアをすることには賛成でした」

 そしてSNSの投稿によって、念願だったグラビアへの道が開けた。投稿した8月にアイドルグループを卒業したが、これもグラビアのためだ。

「アイドルをやめた理由もグラビアを始めたからです。グラビアはずっとやりたかったし、そうと決めたらすぐに行動したいタイプなんです。メンバーにも自分で卒業したいと伝えました。アイドルを始めて、その後にグラビアをやったことで私のことを知ってくれる方もたくさん増え、アイドルをやったおかげで自分がグラビアをやりたいと明確になりました」

「天下取れるよ」

 そして撮影を重ねることで、どんどんとグラビアへの興味が深まっている。同じ雑誌に載ったグラビアは絶対チェック。馬場ふみか、今田美桜などのグラビアを見て研究しているという。

「カメラマンさんごとに撮り方も、思い描いてる世界観も違う。そのことを知って、カメラマンさんがどんな世界観で撮りたいのか考えながらグラビア撮影をするようになりました。今はお風呂場で1時間くらい鏡をみながらどの角度がいいか、どうやったら胸が大きく見えるか、研究しています」

 グラビアでの目標を聞くと「雑誌のピン表紙を絶対今年中に撮りたいけんから、頑張りたい」と熊本なまりで語ってくれた。胸だけでなく人懐っこい笑顔や親しみのある感じも魅力だ。

「今までは『グラビアの逸材』という言葉をかけてもらっていたんですけど、最近、雑誌のグラビアに載れるようになってからは『天下取れるよ』と言ってもらえるようになりました。今、グラビアにはあんまりいいイメージがないという人もいますが、それを覆したい。グラビアは綺麗で自分の素を見せる場所だっていうのを伝えたいです」

 真摯な言葉からはグラビアへの愛が伝わってくる。「グラドルは天職」と語る20歳の今後の活躍を期待したい。

徳重龍徳(とくしげ・たつのり)
ライター。グラビア評論家。大学卒業後、東京スポーツ新聞社に入社。記者として年間100日以上グラビアアイドルを取材。2016年にウェブメディアに移籍し、著名人のインタビューを担当した。現在は退社し雑誌、ウェブで記事を執筆。個人ブログ「OUTCAST」も運営中。Twitter:@tatsunoritoku

デイリー新潮編集部