最終回を終えたNHKの朝ドラ「ブギウギ」だが、その直前に新たなスターが現れた。若手歌手・水城アユミを演じる吉柳咲良(きりゅう・さくら=19)だ。

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 3月22日の放送では「第7回オールスター男女歌合戦」の本番が描かれた。大トリは趣里(33)が演じる福来スズ子の「ヘイヘイブギ」で、大物らしい圧巻のステージだった。ところが、その前にスズ子の持ち歌「ラッパと娘」を歌ったアユミの評判も、勝るとも劣らないものだった。SNSでは絶賛の声が上がった。

《アユミちゃん本当にうまいね将来が楽しみだ》

《水城アユミ、うまいわ!! いい。すごくいい。すごくいいラッパと娘だった》

 民放プロデューサーは言う。

「舞台となった『第7回オールスター男女歌合戦』は、スズ子のモデルとなった笠置シヅ子(1914〜1985)が大トリで出場した1956年の『第7回NHK紅白歌合戦』でしょう。ちなみに、この年の『紅白』に美空ひばり(1937〜1989)は出場していません。裏番組の『オールスター歌合戦』(ラジオ東京テレビ=現・TBS)に出演していました」

 そのため、アユミのモデルは美空ひばりではなく、同じ“三人娘”の一人・江利チエミ(1937〜1982)ではないかという声も上がっている。

モデルはひばり

「確かに、江利チエミはこの年の『紅白』に出場していますし、彼女の父は音楽家で、母は歌劇団出身というドラマとの共通点もあります。ひばり は横浜の鮮魚店の娘ですから、脚本家は水城アユミのキャラクターに“三人娘”の要素を加えたのかもしれません。もっとも、ひばりは笠置を尊敬し、“ベビー笠置”の異名を取ったほど。翌年の紅白では二十歳で大トリを取っているくらいなので、アユミのモデルで間違いないでしょう。笠置の持ち歌をめぐって確執があったのもひばりですから」

 デイリー新潮は昨年11月30日配信の「【ブギウギ】毒舌・淡谷のり子キャラにハマる菊地凛子 笠置シヅ子を語る上で避けて通れないもう一人の大物歌手は?」で、持ち歌をめぐる笠置と美空の確執について報じている。

「まあ、『ブギウギ』はあくまでドラマですから、モデルが誰かを推測するのは自由です。それ以上に業界では、アユミを演じた吉柳咲良のほうに注目が集まっています」

 吉柳は2016年のホリプロスカウトキャラバンでグランプリを獲得し、12歳で芸能界入りした。歴代最年少のグランプリだった。

「スカウトキャラバンといえば、初代の榊原郁恵(64)を筆頭に、堀ちえみ(57)、井森美幸(55)、山瀬まみ(54)、綾瀬はるか(39)、石原さとみ(37)など、絶世の美女ではないものの男女の別なく視聴者に好かれる“国民的アイドル”を生み出してきました。吉柳も先輩たちと同じく、応援したくなるような愛くるしい表情をしています。しかも、歌も上手い」

高畑充希との共通点

 彼女のデビューは17年2月、ミュージカル「ピーター・パン」の10代目ピーター・パンだった。

「ホリプロが制作を手がけるブロードウエイミュージカルで、初代ピーター・パンが郁恵ちゃんでした。このミュージカルに主演し、彼女も演技力と歌唱力を磨いたのでしょう」

 その自信はインタビューでの発言にも垣間見える。「ブギウギ」のアユミ役について尋ねられ、こう振り返った。

《「やり切った。心から楽しんで、最後は気持ちだけで歌い切った」と笑う。ひたすら走り回り、一所懸命すぎてあまり記憶がない。「ただ、一緒に舞台に上がるエキストラや、取ってくれるカメラマンの方が『やべえな、この子』って驚いてくれるくらいじゃないとダメだ、(アユミの輝きは)視聴者に伝わらない、と思っていた」》(産経新聞3月25日)

「もともと彼女は、『ブギウギ』のヒロインオーディションを受けていたそうです。ところが、まだ19歳ですからね、若すぎるためアユミ役になったそうです。そんな彼女は、同じホリプロの高畑充希(32)の後を追っているように見えます。高畑は8代目ピーター・パンを演じ、その歌唱力と演技力は知る人ぞ知る存在になっていました」

 もっとも、高畑はスカウトキャラバンがデビューのきっかけではない。

朝ドラ主演の道も

「彼女は05年、ホリプロ創業45周年を記念した『山口百恵トリビュートミュージカル プレイバックpart2〜屋上の天使』のオーディションで主演の座を獲得し、芸能界に入りました。そして、16年のNHK朝ドラ『とと姉ちゃん』の主演で一気にブレイクしました。今やテレビと映画の出演本数や視聴率では石原さとみを抜き、綾瀬はるかと共にホリプロを背負って立つ両横綱です」

 吉柳にもホリプロのレジェンド・山口百恵(65)との共通項があるという。

「吉柳は70年代から80年代に人気を博したオーディション番組『スター誕生!』(日本テレビ)を描いたドラマ『アイドル誕生 輝け昭和歌謡』(NHK BSプレミアム4K)で山口百恵を演じたという縁もある。それがあったため『ブギウギ』のアユミ役に繋がったのです」

 ちなみに、高畑が主演した「とと姉ちゃん」には趣里が出演していた。

「その趣里が主演する『ブギウギ』で新旧交代を印象づけたのが吉柳でした。10代目ピーター・パンに抜擢された時から、国民的女優の切符は掴んでいると言っていい。朝ドラのヒロインの道も見えているでしょうし、民放だってゴールデン・プライム帯のドラマで主演を考えているでしょう。楽しみな新星の誕生です」

デイリー新潮編集部