関東地方を中心に桜が満開に咲き誇った今月7日、演芸番組「笑点」(日テレ系)の新メンバーが発表された。3月末をもって勇退した林家木久扇(86)の後を任されたのは、立川晴(はれ)の輔(51)。かつて立川談志(故人)が家元を名乗って創設した、落語立川流に属する真打だ。

「一般的な知名度はまだまだですが、過去にも『笑点』の新メンバーの候補として名前が挙がったことがある実力派の一人ですよ」

 とはベテラン演芸記者。

「東京農大を卒業したインテリながら、平成9年に立川志の輔(70)の一番弟子として入門した変わり種です。性格も芸風も明るく、落語以外のトークもお手のもの。ニッポン放送の『週刊なるほど!ニッポン』ではパーソナリティーを務めています」

 7日放送の「笑点」では、前任の木久扇に導かれながら登場した。

「晴の輔は昨年メンバー入りした春風亭一之輔(46)の“引き返すならいまだぞ”との毒舌エールでのイジリに苦笑する場面も。“メチャクチャ緊張しました”と初日を振り返りました」

わずか3年で番組を去った談志

 芸歴は今年で28年目。ベテランだが、早くから頭角を現して、「東西若手落語家コンペティション」の第2回大会で優勝を果たし、35歳だった平成20年には初代グランドチャンピオンの座を手にしている。

「翌年度の第4回大会では一之輔も優勝しました。ところが彼は、グランドチャンピオン大会への出場権を逃しています」

 晴の輔の加入で番組には都内に本拠を置く四つの落語団体がそろい踏みする。一之輔と同じ落語協会に所属する林家たい平(59)、落語芸術協会の春風亭昇太(64)と三遊亭小遊三(77)、桂宮治(47)。そして五代目円楽一門会から三遊亭好楽(77)という具合だ。

「そもそも『笑点』の生みの親は談志で、昭和41年に番組が始まった際は初代司会者を務めました。その後、番組の方向性を巡って局側ともめ、わずか3年で番組を去っています」

“事前に漏れたら白紙”

 以降、立川流の落語家が番組に出演する機会はついぞなかったという。

「その期間は、半世紀以上に及びました。5年前、6代目三遊亭円楽(故人)が病気休養を理由にお休みした回がありましたが、その時に代役を務めたのが晴の輔でした。メディアも“立川流が50年ぶりに出演”と取り上げましたが、あの頃から晴の輔は“いつかはレギュラーに”と、考えていたかもしれませんね」

 というのも、晴の輔と「笑点」にはこんなご縁が。

 番組関係者が解説する。

「BS日テレに関連番組『笑点 特大号』があり、晴の輔はその大喜利コーナーに10回以上も出演している。2年前に宮治もここから地上波に“昇格”。それもあって、次は晴の輔だとみられていました」

 実は、晴の輔へのメンバー入りの打診は昨夏という。

「担当者から“事前に漏れたら白紙”と厳命され、師匠の志の輔に打ち明けたのは3月末だったそうです」

 令和の春に“復帰”した談志門下の活躍に期待――。

「週刊新潮」2024年4月18日号 掲載