1月14日、愛媛県四国中央市のスターバックスイオンタウン川之江店のテラス席で発生した「愛媛スタバ射殺事件」。6代目山口組と敵対する池田組の2次団体・功龍會会長で池田組のナンバー2・前谷祐一郎若頭(62)は、市内に住む石川雄一郎氏(49)の胸を拳銃で撃ち殺害後、凶器を持ったまま逃走を続けていた。

 その前谷若頭がようやく逮捕されたのは5日のこと。潜伏中に6代目山口組側に抗争をしかけるタイミングをうかがっていると言われたが、実際はどうだったのか。6代目側の捉え方も含めてお伝えする。

 ***

「前谷若頭は発砲後に車を乗り換えながら逃走し、香川県内に入ってから電車に乗って関西方面に向かったようです」

 と、担当記者。

 京都市内のウィークリーマンションや滋賀県内の某所で潜伏中であるとか、人工透析中で遅かれ早かれ身柄を拘束されるのではとの情報も駆け巡ったが、結局は岡山・倉敷市内で逮捕となった。場所は池田組と関係が近いとされる土木会社が寮として所有する一軒家だったという。およそ50日の逃走劇だった。

出頭する気はさらさらない

 逮捕された岡山には、6代目山口組に移籍した5代目山健組傘下の3代目妹尾組の本部が置かれている。妹尾組と池田組との因縁は深い。

 池田組の池田孝志組長が散髪中に3代目妹尾組の若頭らに襲撃され、それを返り討ちにする事件が起こったのは2022年10月のことだった。

 その岡山県内に潜伏していたことから、前谷若頭はこの件への報復を狙っていたのではないかとの指摘もあった。

「前谷若頭は“出頭する気はさらさらない”という姿勢だったようで、潜伏中はそれなりのターゲットがいたのではないでしょうか」(同)

 無期懲役や相当な長期の懲役を避けられないのならば、やぶれかぶれになって次の犯罪に手を染めても不思議ではないだろう。若頭自らヒットマンとしてさらに動いた可能性があったということだ。

 そのあたり、竹垣悟氏(元山口組系義竜会会長で、現在はNPO法人「五仁會」を主宰)の見立てを聞いてみると、「3代目妹尾組への報復ではなく、6代目山口組の2次団体・2代目若林組の幹部を狙っていたのではないかと見ています」とのことだった。

 2代目若林組との関係については補足が必要だろう。

ターゲットとした組織は

 殺害された石川氏は元々、前谷若頭が率いる功龍會の会長代行と政治結社・祐龍会の会長を務めており、前谷若頭とは親子の関係にあたる。

 その後、破門処分を受けた石川氏は服役などを経て、一旦は前谷若頭のもとに戻ったが、その後、6代目山口組との関係を深めて行った。

 6代目側の「移籍報告書」(写真参照)によれば、2021年2月25日の日付で、功龍會の石川祐一会長代行(石川氏の渡世名)の所属先として、6代目山口組の2次団体・2代目若林組・森組と記述されている。

 つまり、前谷若頭としては「子」にあたる石川氏が抗争相手側についたことからターゲットとした。さらにその目的を達成した後も、石川氏の所属先である2代目若林組を狙い続けていたということなのかも知れない。

6代目山口組の反応は

 もっとも、このあたりはまだ不明な点も多い。「石川氏は2代目若林組とは無関係だ」との説が流布されることもあったとされる。6代目山口組として、一連の前谷若頭の動きに対して反応することがあるのだろうか。

「石川氏殺害についてはあくまでも内輪の揉め事という捉え方をしているようです。したがって、報復行動に出る可能性は低そうです」(同)

 ヒットマンの逮捕でとりあえずは事態が収束の方向に向かうことが望ましいのは言うまでもない。

デイリー新潮編集部