<厳重注意を行っております>

 4月22日の午後6時半頃、<協会員の不適切行為に対して>と題された書面がマスコミ各社に届けられた。送り主の名は<公益財団法人日本相撲協会>。そこには、次のように記されていた。

<二所ノ関部屋所属の幕内大の里と未成年の幕下以下力士が、昨年の9月、二所ノ関部屋内で共に飲酒していました。師匠の年寄二所ノ関が報告を受けた際、大の里と幕下以下力士に対して厳しく指導していましたが、この度、二所ノ関から協会へ報告がありました>

<協会でヒアリング調査を行ったうえ、幕下以下力士が未成年である事を知りながら共に飲酒していた大の里と師匠である二所ノ関に対し、コンプライアンス部長から厳重注意を行っております>

“二所ノ関”とは、若乃花以来19年ぶりの“日本出身”横綱として人気を博した元「稀勢の里」の二所ノ関親方(37)を指す。そんな元有名横綱が率いる相撲部屋で、“未成年飲酒”という不祥事が起きていたわけである。

 とはいえ、なぜ相撲協会は、“昨年の9月”に起きた問題を半年以上も経ったいまになって公表したのか。

 実は、「週刊新潮」編集部ではこの書面が出される直前の4月19日以降、二所ノ関親方や相撲協会に、今回の“不適切行為”の事実関係について問い合わせ続けていた。これに対し、相撲協会は「週刊新潮」からの質問に直接答えることは避け、大慌てで<報道関係各位>に書面を送りつけたというわけだ。

 では、なぜ「週刊新潮」への回答を避けたのか――。それは、この問題の背景に、二所ノ関親方と相撲協会にとって“不都合な真実”が隠されていたからに他ならない。

「酔いつぶれる様子を見て笑うのだとか」

 そもそも、さきほどの書面の内容に目を通した読者は、この“不適切行為”についてどんな印象を抱くだろうか。おそらくは、<先輩力士が未成年の後輩力士と一緒に飲み会をしていたのが見つかった>といった程度のものだろう。だが、実態は大きく異なっているようだ。二所ノ関部屋の後援会関係者はこう明かす。

「昨年3月に初土俵を踏んだばかりの19歳の若い衆を、ある時期から部屋の弟子たちがいじめるようになった。そこに幕内力士の大の里(23)が加わって、先頭に立っていじめをエスカレートさせていったと聞いています」

 そこで起きたのが“未成年飲酒”問題だったという。

「19歳の力士が風呂に入っていると、大の里が後から酒を携えてやって来て、風呂場で“飲め”と強要するらしいのです。しかも、断り切れない若い衆が大量の酒を飲まされ、酔いつぶれる様子を見て、大の里は面白がって笑うのだとか」

 これが事実であれば飲み会などではなく、もはや“飲酒強要”であろう。少なくとも<共に飲酒していました>といった表現で済ませていい話とは思えないのだが。

 大の里は日体大相撲部時代に2年連続でアマチュア横綱に輝き、“史上最強の学生横綱”との触れ込みで角界入りした。今年1月の初場所で新入幕を果たし、3月の春場所で尊富士と優勝争いを繰り広げたことも記憶に新しい。そんな角界“期待のホープ”ゆえの“大甘裁定”ということなのか。

 4月25日(木)発売の「週刊新潮」(5/2・9合併号)では、相撲協会が黙殺したかった「未成年への飲酒強要」の真相に加え、“次世代の理事長”と称される二所ノ関親方自身が角界での批判に晒されかねない“問題行動”など、二所ノ関部屋の闇にも迫っている。

「週刊新潮」2024年5月2・9日号 掲載