「阪神7−2ヤクルト」(19日、甲子園球場)

 阪神がリーグトップの11度目の逆転勝ちで2連勝。3カード連続の勝ち越しで貯金を今季最多タイの6とし、首位をキープした。先発の才木浩人投手は6回5安打2失点で両リーグ単独トップの5勝目。デイリースポーツ評論家の中田良弘氏は6回を投げ切った姿を高く評価した。

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 才木の投球には、人間的成長が感じられる。肘の手術を乗り越えて、昨年、好成績を収めたが、その故障があったからこそ、浮かれることなく今季に臨めている。

 この日のように試合があるかどうか分からないところでしっかり気持ちを作って試合に入っていたのも、風格が備わったというか投手としての成長部分だろう。しかも前回登板が完封勝利、この日は初回、グラウンドコンディションもあって2失点。それでも動揺を見せることなく二回以降、落ち着いたマウンドさばきを見せられた。

 初回は外国人選手2人の打点で失点。しかしあえて村上との真っ向勝負にこだわらず、2打席目以降のサンタナ、オスナをきっちり封じる投球プランが逆転を呼んだと感じた。

 特筆したいのが、6回を投げきったところだ。五回を終えて103球。チームは2点リード。六回からの継投策も考えられたが、才木があと1イニング頑張ったことで中継ぎも楽になるし自身の価値も高まる。ここを3人で切り抜けたことで流れを完全に阪神のものとし、最終的に大勝にまでもっていけた要因だろう。