1位は京都ホテル
平均年収364.3万円

 今回は、上場企業の有価証券報告書に記載された平均年収のデータを使って「年収が低い会社ランキング2023【大阪除く近畿地方】」をお届けする。

 対象は、大阪府を除く近畿地方(京都、兵庫、和歌山、奈良、滋賀、三重の1府5県)に本社を置く上場企業。対象期間は2022年5月期〜23年4月期。従業員数が100人未満の企業は除外した。

 それでは早速、ランキングを確認していこう。

 1位は京都ホテル(京都府京都市)で、平均年収は364.3万円(従業員数391人、平均年齢39.1歳)。

 同社は1927年に設立し、京都ホテルオークラなどを運営している。ちなみに、京都ホテルオークラの前身である常磐ホテルは、渋沢栄一が創立に関わった西日本で唯一のホテル会社として知られている。

 新型コロナウイルスによりホテル業界は大きな影響を受けたが、行動制限が徐々に緩和され、昨年10月からは観光需要の喚起策として「全国旅行支援」も実施された。また、水際対策の緩和や円安の恩恵もあり、訪日外国人旅行者が増加するなど、ようやく業界には明るい兆しも見え始めている。

 京都ホテルの23年3月期業績も売上高は前年比72.2%増の73億5000万円、当期利益も前年度の6億5100万円の赤字から6200万円の黒字となった。

 こうした中、京都ホテルの平均年収も22年3月期の307.4万円(従業員数435人、平均年齢37.4歳)から、23年3月期は364.3万円へと56.9万円も上昇。しかし、前回ランキングに引き続き、1位となった。

 2位はサービス付き高齢者向け住宅や訪問介護事業などを行うT.S.I(京都府京都市)で、平均年収は383.9万円(従業員382人、平均年齢44.7歳)。

 高齢化が進む中で介護サービスの需要は高まっており、人材の確保は大きな課題となっている。一方で、2022年の介護事業所の倒産件数は最多となるなど、経営環境は厳しく、年収水準を引き上げるのには困難を伴う。T.S.Iは前年の2021年12月期の平均年収369.3万円(従業員数329人、平均年齢44.3歳)から今回14.6万円上昇したものの、ランキングは4位から2位に上がった。

3位はサンフェステで384.9万円
4位はトーセで395.0万円

 3位は業務スーパー運営や酒類販売事業などを行うサンフェステ(京都府亀岡市)で、平均年収は384.9万円(従業員数106人、平均年齢40.7歳)。なお、同社は今年3月に株式上場したため、前年度(2022年3月期)の平均年収は把握できなかった。

 4位は家庭用ゲームソフト開発・制作請負大手のトーセ(京都府京都市)で、平均年収は395.0万円(従業員数540人、平均年齢33.5歳)。

 5位は全国で「コンフォートホテル」などを展開するグリーンズ(三重県四日市市)で、平均年収は398.5万円(従業員数632人、平均年齢38.5歳)。

 今回のランキング対象となったのは22年6月期。22年3月には東京、愛知、大阪など18都道府県に適用されていたまん延防止等重点措置が全面解除され、また、水際措置も段階的に緩和され、ホテル業界を取り巻く経営環境は改善。

 グリーンズでも客室単価の回復など、収支は大きく改善し、売上高は前年比61.9%増の254億3700万円、当期損失は前年の88億300万円から21億7800万円にまで回復した。

 こうした中、平均年収は21年6月期の374.2万円(従業員数668人、平均年齢37.7歳)から、22年6月期は24.3万円上昇した。

 なお6位以下には、ワコールHD、神戸製鋼所、アイフル、紀陽銀行、王将フードサービス、フジッコ、モロゾフなどの著名企業もランクインした。

 ランキング完全版では、6位以下の全100社の順位と平均年収を掲載している。身近な企業の順位と平均年収は、どうなっているのか。ぜひ、チェックしてみてほしい。

(ダイヤモンド編集部 松本裕樹)