日本維新の会の馬場伸幸代表(右)とたかまつなな

 自民党の派閥の裏金問題について、今月1日、「日本維新の会」の馬場伸幸代表は衆議院の代表質問で全議員の調査に着手するよう岸田文雄首相に求めた。政治とカネの問題などで自民党の支持率が低迷する中、日本維新の会は野党としてどう動くのか。政権交代までの道筋から政治家の裏金問題、万博開催の赤字についてまで、YouTube「たかまつななチャンネル」で、たかまつななが迫った。

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■日本維新の会の政策の柱

――そもそも日本維新の会は何を理念にした党なのでしょうか。

馬場:行政は納税者の皆さん、国民の皆さんが、税金を払っていただいて運営されているわけです。だから一番に納税者、国民のためになることをやることを目標にしています。公務員や役所の中でお金が知らんところで消化されていくことをまず止めて、1円でも多く納税者の皆さんに税金を還元しましょうと、基本的にはそういう考え方やね。

――支持者は、どんな世代や業界の方が多いですか?

馬場:子どもをお持ちの30代、40代、50代。男性のほうがやや多いという感じですね。うちは規制緩和、再チャレンジ、雇用の流動化とかを大事にしているので、ベンチャー企業の方とか、スタートアップ事業にチャレンジしている人とか、今までのいろいろなことをぶち破ってやるという方々の支持が多いね。

■野党共闘より単独政権を目指す

――維新は是々非々というところからも、「第二の自民党」と揶揄されることもありますが、自民党との最大の違いはどういうところですか?

馬場:自民党は大きな改革はなかなかできないし、やらない。目の前の課題を上手に、適当に弥縫(びほう)策で解決することはノウハウもあるしお上手。でも、抜本的な構造改革、基礎から何かをやり変えることは自民党ではできない。われわれはそこを基礎からもう一回やり直しましょう、ということを訴えています。

――次の衆院選で野党第1党になることを目標に掲げていますが、政権交代を望む声もあると思います。維新がそれをリードしたり、立憲民主党と組んだり、政権交代のために何かしてもらうことはできないんでしょうか?

馬場:あくまで単独政権を目指しています。そのためには数も必要やけども、層を厚くしていかんと。日本維新の会って今、衆議院で最高当選回数は4回で、われわれが一番上にいてるわけやね。これからは1期生、2期生と始まって、8期生、9期生という層の厚さを作っていかなあかんので、時間はかかるけれども、足腰の強い政党を作りたい。その過程でよその政党とひっついて、大臣か何かポストかくれたらいいわみたいな、そういうスケベ心を持っているようでは、日本の大改革なんてできへんと思うね。

馬場伸幸氏

■立憲民主党と組むための条件

――政権の支持率は下がっているものの、投票したい先がないという人のためにも、野党でまとまってくれたらという希望を持っている人もいると思いますが。

馬場:過去に細川護熙さんが8政党と会派をまとめて政権を取ったけど、すぐに崩壊した。後日談で、労働組合の連合の初代会長をされた山岸(章)さんが、あの人らは単純に政権を取ることだけが目標で、中は考えていることがバラバラでどうしようもないグループだった、だから寄せ集めはよくないとおっしゃっていた。政治信条とか政策の目標が全然ちゃうかったらそれは無理やわね。

――立憲民主党に対して、組むための条件などはあるんですか?

馬場:党首の泉健太さんにはっきり言いました。まず党の中をまとめてください。立憲民主党の方は発言する人によって1つのテーマでもバラバラのことを言うからね。この人たちと一緒に政権を担ったときに大丈夫かなと。今度は政党同士で調整とかが出てくるわけやから。泉さんも若いし、期数が上の人も、年上の人もいっぱいおるのでね、大変なご苦労をされていると思うんやけど、そこは頑張ってほしいというのが率直な感想ですね。

――10年で政権交代を目指すというロードマップはどのように実現しようと考えていますか?

馬場:中期経営計画を作っています。第1ステップがおととしの参院選で、比例票で野党第1党の得票をいただくこと。第2ステップは、去年の統一地方選挙で、地方議員を400人から600人以上にすること。第3ステップが次の衆院選で、野党第1党の議席をお預かりすること。こうなると国会で自民党と丁々発止の議論ができるので、その姿を国民の皆さんに見ていただいて、どっちに政権を委ねたほうがよりマシかという判断をしていただけるようになる。そこまでには10年はかかるでしょう。今2年ぐらいたったので、あと8年ぐらいで政権政党を目指します。でけへんかったら、日本維新の会も解散したほうがいいと思うんでね。

たかまつなな

■お金の使い道は秘書の金庫番しかわからない?

――自民党の政治とカネの問題についてもお伺いします。馬場さんは議員秘書を8年間務めましたが、元秘書という立場から、自民党の裏金問題の管理を秘書に任せていたという現状についてどう思いますか?

馬場:今回の問題は言語道断やと思うね。政治資金規正法違反のみならず、脱税やからね。起訴されない人らも出てきている中で、せめて脱税で捜査して、税金を払うぐらいのことはやってほしいと思います。秘書の中でもお金を主に管理する金庫番と言われる秘書がいるんで、その役割じゃなかったら事務所のお金がどう流れているのか、あんまりわからへん。ましてや議員なんかはわからへんわね、何がどうなっているのか。

――そうなんですか。

馬場:うちの場合でも、きちっと毎月の出入りはそれぞれの事務所から出してもらって、大体のお金の流れを把握することはできるんやけど、細かいところまではわからへんのは事実やね。お金の管理の仕方もルールを変えていかんと。

――お金がかからない選挙に変えていくとか、そういう議論になっていくといいのですが。

馬場:一院制にしたほうがいいと思います。一院制にしてコストカットをやりながら政党を選ぶ選挙に持っていけば、お金はかからないようになってくる。われわれ国会議員は永田町で勉強して政策を打ち出して法律を作っていく。これは本来の仕事やけども、それをやると今度は選挙区に帰れない。帰れなかったら、あの人、選挙のときは頼みに来るけど、普段見たこともないねとなると次の選挙に影響するねんね。そのために秘書を雇って、常に地元の皆さん方とコミュニケーションを取って、いろいろなご要望とかもいただいて実現させていく。そういう作業が必要になるので、そこには絶対お金はかかるわね。

たかまつななと馬場伸幸氏

■万博で赤字が生じたら維新にも責任はある

――有権者も、お祭りに来てくれた人に票を入れるのではなく、政策をしっかり見るようにしていかなきゃいけないですね。続いて、万博をめぐる問題について、維新は万博を進めていく立場ですが、予算という部分で自民党や与党に首根っこを押さえられている部分があると思います。そんな中で、予算委員会で安倍派の幹部や、森元首相、二階元幹事長などの証人喚問などを厳しく求めるつもりはありますか?

馬場:これは段階的にやります。1月30日の野党の会議で、キックバックを受けていた自民党の議員全員について、いくらキックバックされていたのか、何年されたのか、そのお金を何に使ったのかをまず調査してくださいと(主張しました)。それを2月5日の朝に報告をしてくださいということになっています。

 金額が小さかったら許されるということではいかんので、政治倫理審査会で、きちっと資料を出してもらって問いただして事実を解明して、再発防止策を協議する。そこでちゃんとやったらええと思うやんね。

――証人喚問という方法ではなくて?

馬場:われわれは犯罪者を罰するとか、そういう立場の人間じゃない。立法府の人間なので、そういうことが二度と起こらないように法律をきちっと整備しましょうというのが役割です。段階的にルール通りにきちっとやっていくことが大事やと思うね。

――もし万博の運営費に赤字が生じた場合は、誘致を推進してきた党として責任の取り方を検討するとインタビューに答えているのを拝見しました。責任のとり方とは、どんなことを考えていますか?

馬場:それは運営費が赤字になったときに考えるべきでね。国も大阪府、大阪市もキャンペーンを張ってこれから入場券をどんどん売っていく。おそらく10月くらいから前売りチケットも販売が伸びていくと思うので、まずはその前売り券を売ることが今なすべきことやね。その後、閉会したときに赤字やったら、政治的な責任が維新にあるかと聞かれれば、あると思うね。いまどう責任を取るか聞かれても、失敗するのを想定してやるのも難しいのでね。

対談最後は笑顔で撮影

■総理大臣になったらやりたいこと

――党として赤字を補填するとか、そういう意味ではないということですね。

馬場:党が赤字を補填はできへんので。これはあくまで国のイベントなので、党がそういう国のイベントにお金を入れるということは、法的にもたぶん無理やと思うので、それはやらないということですね。

――日本維新の会に票を入れたら、若者にはどんなメリットがありますか?

馬場:維新の会に入れていただいて、世の中が大きく変化していけば、若い人を中心に夢や希望を持てる社会になっていくと思います。今の世の中に欠けているワクワクドキドキ感を日本全体に充満させることができることをお約束したいですね。

――最後に、今後馬場さんに総理大臣になったら、やりたいことは何でしょうか?

馬場:新しい日本を作るということやね。江戸時代って260年間続いて、当時生きておられた方はたぶん江戸時代は終わらへん、江戸幕府がなくなることなんかないと思いこんではったと思うね。でも世界の情勢、国内の変化で江戸幕府が倒れて明治維新になる。そこから新しい国家を目指したわけね。ぼちぼちまた新しい国づくりをやるタイミングが来ていると思うんだよね。抜本的な構造改革、それは自民党には絶対できません、やりません。だから、改革政党にそういうかじ取りを任せてほしいですね。