デビュー組66名が勢揃いで踊る「ブラザービート」。ステージ中央には山田涼介を迎え挨拶するSnow Manの姿が。4月10日に東京ドームで開催された「WE ARE! Let's get the party STARTO!!」より(撮影/加藤夏子)

「さあ東京ドーム! 新しい時代が始まったぞ!」

 今年デビュー10周年を迎えるWEST.の桐山照史がそう叫ぶと、ドームいっぱいに大きな歓声が響きわたった。

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 2024年4月10日。

 SUPER EIGHT、KAT-TUN、Hey! Say! JUMP、Kis-My-Ft2、timelesz、A.B.C-Z、WEST.、King & Prince、SixTONES、Snow Man、なにわ男子、Travis Japan、そして5月15日にCDデビューするAぇ! groupという、13組72名のアーティストが東京ドームに集結。

 このほど28組295名のタレントと契約を締結したというSTARTO ENTERTAINMENT社が、本格始動にあたり、「変わっていかなければならないもの、そして変わらずに守るべき大切なことをテーマに、今、私達ができることを全力で手がけようという想いから」決めたというイベント、「WE ARE! Let's get the party STARTO!!」が開催された。演出を務めるのは、松本潤(嵐)と大倉忠義(SUPER EIGHT)だ。(*以下ネタバレを含みます)

「Hey Hey,東京ドーム! 騒ぐ準備できてるか? 楽しんでってください!」

「Let’s get the party STARTO!」

 新たな門出を迎える同社のイベントは、トップバッターを務めたHey! Say! JUMPの「White Love」イントロでの、山田涼介の煽りと、有岡大貴のタイトルコールで始まった。

 そこからは怒涛の展開だ。「koi-wazurai」(King & Prince)、「こっから」(SixTONES)、「Roar」(KAT-TUN)……ファンならずとも1度はサビのフレーズを耳にしたことがあるような、ライブを盛り上げる曲が、左右中央の3つのメインステージから、センターステージと左右花道、バックステージと、次々と歌唱場所を変えながら、1グループ1コーラスずつ、テンポよくメドレーのように続く。

 そして11曲目にメインステージ中央で始まった、Snow Manの「ブラザービート」。2コーラス目に突入し、ややすると、会場にざわめきが広がった。ステージの端に、9人以外の姿がちらほらと現れたためだ。渡辺翔太が「Let's get the party! 全員集合ー!」とシャウトすると、ステージ中央に次から次へと集まりはじめる、さまざまなグループのメンバーたち。さらに、深澤辰哉が「全員で踊るよー!」と叫ぶと、全員が「Nanana…」のフレーズに合わせてステップを踏みはじめる。デビュー組66人が揃って踊るさまは圧巻であり、どこかユーモラスでもあり、ドームは興奮の渦に飲み込まれた。

4月10日に東京ドームで開催された「WE ARE! Let's get the party STARTO!!」の最後、村上信五(SUPER EIGHT)の「我々72名からの拍手で、みなさんのことを少しでも応援させてください」という言葉を受けての、ステージからの拍手。深々とお辞儀をする姿も(撮影/加藤夏子)

「ブラザービート」を歌い終え、ラウール(Snow Man)が「『WE ARE! Let's get the party STARTO!!』へようこそ!」と叫ぶと、短いMCに突入。

 永瀬廉(King & Prince)が「本日は総勢13組72名で僕たちのエンターテイメントをお届けします!」、山田涼介が「日頃、応援してくださっているファンのみなさまに感謝の気持ちを込めて、最高のパフォーマンスをお届けしたいと思います!」と語り、ジェシー(SixTONES)が「被災されている方々にも届くように、僕たち全力で声出していきますので、みなさん、声出せますかー? もう一度、声出せますかー?」と呼びかける。

 ここまでは、いわば通常のライブの挨拶だったが、「みなさん、声出てます! 安心してください、声出てます! 喉の調子がいいですみなさん。よかったです!」と続けるジェシーに、会場にはざわめきが起きた。さらにジェシーは、「千賀くんどうですか?」と先輩相手に“暴走”。急に振られた千賀健永(Kis-My-Ft2)が「いや、本当にいいよね。盛り上がってるよね。みんなほんと声出てます」と返すと、ジェシーは「声出てます!」と同意したあと、「さあさあさあ、淳太くんどうですか?」「高橋恭平くんどうですかね?」と、中間淳太(WEST.)や高橋恭平(なにわ男子)にも司会者さながらに振り続ける。その絶妙な人選に、そのたびに会場中が大きな笑いに包まれた。

 続いて登場したのは、西畑大吾(なにわ男子)が「来月CDデビュー控えたあのグループ」と紹介した、Aぇ! group。ロック調の熱いデビュー曲「《A》 BEGINNING」を5万人超を前に熱唱し、初めてそのパフォーマンスを目にした観客をも魅了した。

 そのAぇ! groupを、同じく関西出身のWEST.となにわ男子が囲むようにして、関西ジュニアの盛り上がり曲「バンバンッ!!」になだれ込むと、グループの垣根を超えてのコラボレーションが盛り込まれた中盤に突入。

 KAT-TUNの「LIPS」を、そのバックを長年務めたというKis-My-Ft2、そしてそのキスマイのバックを務めていたTravis Japanの3組で歌い、激しい踊りやバク宙を披露したり、今年デビュー20周年を迎えるSUPER EIGHTのバンド演奏で、同じ関西出身グループで10周年を迎えるWEST.が「サムシング・ニュー」などをステージ狭しと走り回って熱唱したり。終盤には、全グループで声を合わせて歌う楽曲も多数披露された。

グループの枠を超えてのコラボレーションや交流も見どころ。かつて仲間としてライバルとして切磋琢磨した向井康二と西畑大吾は、仲良く「希望〜Yell〜」の冒頭をソロとペアとで歌い終えると、手を取りあったまま階段を降りてファンの声援に応えた(撮影/加藤夏子)

 こうしたグループの枠にとどまらない関係性が見られる楽しさは、事務所全体のコンサートならでは。菊池風磨(timelesz)の肩にもたれながらtimeleszの「RUN」を歌う山田涼介という「よにのちゃんねる」での交流を窺わせる仲の良さや、なにわ男子の「ダイヤモンドスマイル」を永瀬廉と頬を寄せ合いながら歌う大橋和也や大西流星(ともになにわ男子)、NEWSの「希望〜Yell〜」で、手をつないだ向井康二(Snow Man)の胸に頭をもたれかけた西畑大吾など、デビュー前に関西で切磋琢磨した組み合わせにも、ひときわ大きな歓声が上がった。

 そして迎えた最後の曲。代表して5人が口を開いた。

 亀梨和也(KAT-TUN)「みなさん本日は本当にありがとうございました。これからも、素敵な景色を一緒にたくさん見ていきましょう」

 玉森裕太(Kis-My-Ft2)「僕らがいまできるパフォーマンスを通して、思いが届いてくれたらうれしく思います」

 重岡大毅(WEST.)「みなさん、本当に今日はありがとうございました。僕たちの精一杯のパフォーマンス、これからも届くように頑張ります」

 菊池風磨「この先もファンのみなさまと一緒に歩んでいけたらと思います。どうか僕たちと楽しい時間を過ごしてください」

 大倉忠義(SUPER EIGHT)「ありがとうございました。いつも、どんなときも応援してくださるみなさまに感謝の思いを込めて、最後の歌を歌いたいと思います。聴いてください。『WE ARE』」。

 メインステージに勢揃いした72人全員で歌うのは、”STARTO for you”チャリティーソングだ。「WE ARE」は、6月12日にCDを発売予定、この10日からデジタルシングルとして先行配信もスタートした。作品の収益は全額、令和6年能登半島地震の被災者に寄付される。

「大事なものはいつもなくして気がついた/当たり前に過ぎた毎日も/悲しみに負けたくなくて/だけど立ち止まる日々」と始まるこの楽曲は、被災地に向けてのエールソングであると同時に、人生という旅の途中で傷つき悲しみのなかにいるすべての人たちへのメッセージが込められているという。

「新たな明日へ」――。この日、ステージ上で多くが語られることはなかったが、全員で声を揃えて歌うこのフレーズに、思いのすべてがこもっているようでもあった。

 ステージの幕が降りる前に、村上信五(SUPER EIGHT)はこう告げた。

「みなさんがいちばん頑張ってくださったと思いますので、我々72名からの拍手で、みなさんのことを少しでも応援させてください」「今日は我々の、本当の新たな一歩、スタートだと思います」

 このコンサートは、NEWSの3人も参加しての14組75名のアーティストにより、5月29日・30日に京セラドーム大阪でも開催される予定。30日の最終公演は、有料生配信も決定している。

*「AERA」オリジナル記事