支持率低下に岸田首相の胸中は……

 岸田政権の支持率下落が止まらない。報道各社の世論調査では朝日新聞が23%、時事通信が16.9%、毎日新聞では14%と軒並み政権発足以来最低を記録した。国会でも連日、自民党の裏金問題の追及が続いているが、答弁からは全容が解明される期待感はない。果たして、このまま自民党が政権を担っていくのがいいのか、岸田首相はいつ解散するべきか、政権交代するならどこが与党になるのがいいのか。AERA dot.が緊急アンケートを実施したところ、2千人から回答があり、関心の高さがうかがえた。

 アンケートは、2月20〜21日の2日間。AERA dot.のウェブサイトやSNS、メルマガなどから回答を集めた。

 実施期間は短かったものの、回答数は2004件に上った。回答者の性別は男性が69%、女性が24%、無回答などが6%。年齢は70代以上が35%、60代が34%、50代が19%、40代が7%、30代以下が3%だった。

■「いますぐ解散」が45%

 質問は「いつ解散するべきと思うか」「政権交代を望むか」「望む場合は、どの党、もしくはどの党との連立が良いと思うか」「解散するとしたら、自民・立憲は誰を党首にしたら支持率が高まると思うか」だ。また、最後に自由記述で意見を聞いた。回答の結果を見ていこう。

 岸田政権の支持率が下がるなかで、次の衆院選がいつになるか関心が高まっている。解散のタイミングについて専門家からは「3月(2024年度予算案が通過したあと)」「4月(岸田首相が国賓待遇で招かれる訪米の前後)」「6月(通常国会会期末)」などのシナリオが出されており、いつ解散するべきだと思うか、尋ねた。

 最も多かったのは「いますぐ解散するべきだ」で45%を集めた。次は「3月(2024年度予算案が通過したあと)」で29%、「6月(通常国会会期末)」が15%、「4月(国賓待遇で招かれる訪米の前後)」が3%と続いた。およそ4人に3人(74%)が3月までの早期に解散を望んでいる状況だ。

「いますぐ解散するべきだ」「3月(2024年度予算案が通過したあと)」と回答した人の記述回答を見ると、

「裏金を明らかにして解散して欲しい」(女性、50代)、「国民の税金を好き勝手に使っている自民党は一日も早く退場して欲しい」(女性、70代以上)、「早急に選挙を実施! そして自民党の隠していることを全て明るみにして」(女性、60代)、「能登地震関連の予算を通した上での解散が望ましい」(女性、50代)、「自分の利益しか考えていない自民党は一日も早く退場して欲しい」(女性、70代以上)

 などの声が多数あった。全体的に裏金問題への批判や世界平和統一家庭連合(旧統一教会)との関係についての指摘が目立った。

 解散を望む声が多数ある一方で、政権交代に対しては不安の声もある。民主党政権が失敗に終わったという評価が根強い。アンケートでは「政権交代を望むか」について尋ねた。

 結果は「望む」が79%、「望まない」が20%という結果だった。

■「二大政党を育てないと」

「望む」の回答者の記述を見ると、「感覚がずれてる岸田政権。野党の弱腰が少し気になるが、ここらで政権交代しないと自民党のやりたい放題になる」(女性、60代)、「国政や国策、産業構造に発想の大転換が必要。これまでのやり方では日本に未来がない」(男性、40代)、「野党に政権運営能力がないという批判があるが、それは野党がほとんど政権運営したことがないからで当然。野党に政権運営能力が身につくまで、政権を任せることも必要」(40代)、「自民党が続く限り日本は変わらないし良くならない。国民は二大政党を育てないと悪は繰り返す!」(男性、60代)

 といった声が寄せられた。

 反対に「望まない」という人たちの記述回答を見ると、「日本の政治全体の質が低下していることを切に感じる。今の自民党の好き放題のやり方と傲慢(ごうまん)さおよび国会の堕落ぶりは許せないが、他に任せられる政党がないのも確か」(男性、50代)

「以前の政権交代のときのグダグダぶりを考えると、自民党以外には考えられない」(女性、60代)、「裏金問題で自民党には本当にがっかりだし、確定申告をちゃんとしろなんてどの口が言うんだと言うくらい腹が立つが、野党に全く期待できないので、まだ自民党でちゃんと頑張ってる人、クリーンな人の方がまし」(女性、60代)、「どの党が政権を担ったとしても、金の問題はどの党もあるはず。今回は氷山の一角。支持できる党が無いのが残念」(男性、40代)

 などと野党や政治そのものへの不信の声が多数寄せられた。

 政権交代を「望む」と回答した人に、政権を担うのはどの党、もしくはどの党との連立が良いか、尋ねた。

 最も多かった回答は「立憲民主党」のみで25%だった。「日本維新の会」のみが6%、「れいわ新選組」のみが5%と続いた。

 複数の党を書いた連立の回答を見ると、「立憲民主党と日本維新の会」が4%、「立憲民主党と日本共産党」が3%、「立憲民主党と日本共産党、れいわ新選組」「立憲民主党と日本共産党、れいわ新選組、社民党」がそれぞれ同数で2%だった。「野党連立」などと具体的な政党名を書かない回答も5%あった。野党連立に一部の自民党議員が加わることを期待する声も散見された。

■「政権交代望むが現在の野党支持ではない」

 記述回答を見ると、

「野党にはこの国をどう立て直すのか、アイデアとロードマップを専門家や学識経験者と組んで立案して有権者に訴えて政権を取り戻してほしい」(男性、70代以上)といった前向きな意見がある一方で、

「政権交代を希望してるが、決して現在の野党を支持してるわけではない。回答した連立の組み合わせも苦肉の策。半ば諦めの入った提案。いい加減にこの危機的状況を政治家は理解して臨んでもらいたい」(男性、60代)

 などと政党問わず、政治家全体への厳しい指摘も目立った。

 最後に、衆院選が近いと言われているなかで、最大与党の自民、野党第一党の立憲は誰を党首にしたら支持率が高まると思うか尋ねた。選択肢はこれまでのAERA dot.のアンケート結果や前回の総裁選、党首選の候補者などをもとに作成した。

自民党は「石破茂」「上川陽子」「岸田文雄」「小泉進次郎」「河野太郎」「高市早苗」「野田聖子」「茂木敏充」「その他」(記述回答)、立憲民主党は「泉健太」「枝野幸男」「逢坂誠二」「小川淳也」「小沢一郎」「辻元清美」「西村ちなみ」「野田佳彦」「蓮舫」「その他(記述回答)」とした。

 自民党の回答を見ると、石破茂氏が35%でトップ。2番手に来たのは「無回答、いない」で25%だった。次いで上川陽子氏が14%、高市早苗氏が8%、小泉進次郎氏が7%、河野太郎氏が4%だった。岸田首相は1%だった。

自民党鳥取県連主催の国政報告会であいさつする石破茂元幹事長=2024年2月10日
衆院予算委で質問する立憲民主党の野田佳彦元首相=2023年11月22日

■立憲はトップが「無回答、いない」

 立憲民主党の回答を見ると、トップが「無回答、いない」で28%に及んだ。2番手が野田佳彦氏で14%、次に枝野幸男氏が3%、現党首の泉健太氏が10%、蓮舫氏が8%、辻元清美氏が7%と続いた。

 立憲民主党の「無回答、いない」の記述回答を見ると、

「揚げ足取りの質問ばかりで政権担当能力のある人材がいると思えない」(男性、60代)、「全ての人が少々力不足です」(女性、60代)

 といった声があった。野田氏に期待する声としては、

「自民党安倍と約束し退陣したが、裏切りにあった無念を晴らす、野田氏に期待する」(男性、70代以上)、「前回まんまとだまされて下野した野田さんにもう一度復活してもらいたい。人のあら探しに全力投球したり、うそをついても平気でいられたりする厚顔無恥な国会議員が増えたなかで昔ながらの気骨のある数少ない『政治家』だと思う」(男性、50代)

 といった声があった。

 今後どのような展開が待っているのか。日本の政治が岐路に立っている。

(AERA dot.編集部・吉崎洋夫)