昨季、年間女王となった山下美夢有と最後まで争い、最終的にメルセデス・ランキング2位となった申ジエ。今季も大活躍が期待されたが、ここまで日本女子ツアーへの出場は1試合のみ。果たしてその理由とは。

パリ五輪に向け世界ランキングは16位に上昇

 申ジエが米女子ツアーの「ファーヒルズ・朴セリ選手権」(3月21〜24日)に出場し、通算7アンダーの5位タイで終えた。最終日を首位タイからスタートしたが、2バーディー、2ボギー、1ダブルボギーの「73」で惜しくも優勝を逃した。

「ファーヒルズ・朴セリ選手権」で5位タイに入った申ジエ 写真:Getty Images
「ファーヒルズ・朴セリ選手権」で5位タイに入った申ジエ 写真:Getty Images

 試合後、申ジエは現地メディアとのインタビューで「米ツアーで優勝争いができたことに満足している。このコースは飛ぶ選手が有利ではないので、自分にも優勝のチャンスが来ると思っていたけれど、今日は風が助けてくれなかった。風が試合をとても難しくしました」と語っている。

 それでも5位タイで得たポイントで世界ランキングは18位から2つ挙げて、16位に浮上。これで韓国勢ではコ・ジンヨン(6位)、キム・ヒョージュ(9位)、エイミー・ヤン(14位)に次いで4番手となった。

 今季の第一目標であるパリ五輪出場に向け、15位以内に入ることを目標にしているが、今後の試合でもどれだけ上位でフィニッシュできるのかがカギとなる。ちなみに、五輪は各国2名に出場権が与えられるが、世界ランキング15位以内に入れば、最大で4名が出場可能となっている。

海外の試合に積極的に出場する申ジエ

 申ジエは今季、主戦場でもある日本ツアーの開幕戦「ダイキンオーキッドレディス」のディフェンディングチャンピオンだったが、罰金を払って欠場。世界ランキングを上げるため、同週開催の米女子ツアー「HSBC女子世界選手権」に出場していた。結果は41位タイと苦戦して世界ランキングを下げていたが、今大会で5位タイに入って順位を上げることに成功した。

 今後の予定だが、今週開催の「ヤマハレディースオープン葛城」は欠場。翌週の「富士フイルム・スタジオアリス女子オープン」(4月5〜7日)も欠場予定だが、同週の韓国女子ツアー「斗山建設Weveチャンピオンシップ」に出場することが決まっているという。これは母国のファンに自分の勇姿を見せたいという気持ちもあるのだろう。

 いずれにしても五輪出場選手が決まる6月24日(予定)まで、どの大会に出場するにしても、世界ランキングを維持するためには、結果を残すことが求められる。

 韓国「毎日経済」によると、「現在、世界ランキング50位以内の選手中、30代の選手は8人。その中でも35歳の申ジエが一番上。パリ五輪出場時点では36歳になる」と伝え、今も衰えない技術を称えている。

 今季、国内ツアーにはまだ1試合しか出場していないが、4月以降は心身ともに充実した円熟味を増したプレーが日本でも見られそうだ。

申 ジエ(しん・じえ)

1988年4月28日生まれ。韓国出身の女子プロゴルファー。11歳からゴルフを始め、2007年に韓国ツアー19戦10勝。翌年「ヨコハマタイヤPRGRレディスカップ」で日本ツアー初優勝を飾り、同年の「全英リコー女子」を含む米ツアー4勝。09年に米ツアーの賞金女王となり、10年には世界ランキング1位に。14年から主戦場を日本に移し、18年はツアー史上初となる公式戦(メジャー)年間3勝を達成し7年シードを獲得。JLPGAツアー通算28勝。スリーボンド所属。

キム・ミョンウ