「富士フイルム・スタジオアリス女子オープン」で藤田さいき(ふじた・さいき)が女子ツアー最多記録となる通算7回目のホールインワンを決めた。しかし、日米ツアー通算だと藤田の記録を上回る「8回」を記録している現役選手がいた。

国内男子記録も「7回」で羽川豊と井戸木鴻樹が達成

「富士フイルム・スタジオアリス女子オープン」で藤田さいきが女子ツアー最多記録となる通算7回目のホールインワンを決めた。では、他のツアーはどうなのか調べると、やはり世界にはすごい記録があった。さらに、日米通算なら藤田を凌駕(りょうが)する日本選手がいることも分かった。

 藤田が通算7回目のホールインワンをやってのけたのは大会2日目の13番パー3でのこと。表示が150ヤードのこのホールで8番アイアンを使用して一発で沈めた。

「富士フイルム・スタジオアリス女子オープン」2日目の13番パー3で自身7回目となるホールインワンを達成した藤田さいき 写真提供:JLPGA
「富士フイルム・スタジオアリス女子オープン」2日目の13番パー3で自身7回目となるホールインワンを達成した藤田さいき 写真提供:JLPGA

 これまでは通算6回で藤田を含む7選手が並んでおり、そこから抜け出した形である。7選手の中で最初に6回目を達成したのは今堀りつで1997年の「東都自動車レディース」だった。つまり、藤田は27年ぶりにツアー記録を塗り替えたことになる。

 では、男子ツアーの最多記録は何回なのかというと、藤田と同じ7回で羽川豊と井戸木鴻樹が達成している。

 ただし、女子が初期からホールインワンのデータが残っているのに対して男子の場合は「1985年以降」という注釈がつく。それ以前は詳細なデータがないためだ。

 男子最多記録保持者である羽川と井戸木は1985年以前もプレーしているから実際は8回以上達成している可能性があるし、ほかに8回以上の選手がいるかもしれない。昔の新聞などを調べてもすべてのホールインワンが掲載されているわけではないので、これ以上は深掘りできない状況だ。

 米男子ツアーも同じように「1983年以降」という注釈がつくが、最多はハル・サットン(米国)とロバート・アレンビー(オーストラリア)の10回となっている。

 米国も女子ツアーなら日本と同様に初期から記録が残っているようで最多記録保持者のキャシー・ウィットワース(米国)は主に1960年代、70年代に活躍した選手である。米女子ツアー歴代最多の88勝を挙げていることでも有名なウィットワースのホールインワン数は実に11回。

 2番目に多い選手が8回だから、圧倒的な1位である。藤田は今後、ウィットワースの大記録にどこまで迫れるか注目だ。

上原彩子は日米通算で「8回」のエースを達成

 米女子ツアーの記録集には通算4回以上の選手が掲載されている。その中には日本選手もおり、5回の欄には岡本綾子が、4回には小林浩美、畑岡奈紗、上原彩子が名を連ねている。

 この4選手の日本でのホールインワン数は岡本が1回、小林と畑岡は0回、そして上原は4回となっている。そう、上原は日米両ツアー合わせて何と8回もホールインワンを達成しているのだ。

 日本でプロデビューした上原は2007年の「サントリーレディス」で最初のホールインワンを出すと3年後の2010年に同じ「サントリーレディス」の同じ6番ホールで2回目を決める。2010年には「ニトリレディス」でも記録し、2011年の「ヨネックスレディス」で4回目を達成した。

近年は体調不良の影響などもありレギュラーツアーから遠ざかっている上原彩子だが、エースを8回も記録している実力者 写真提供:Getty Images
近年は体調不良の影響などもありレギュラーツアーから遠ざかっている上原彩子だが、エースを8回も記録している実力者 写真提供:Getty Images

 米女子ツアーでは参戦初年度の2013年「ウォルマートNWアーカンソー選手権」で1回目。2016年の「カナディアンパシフィック女子オープン」では3日目と最終日に2日連続ホールインワンという快挙まで成し遂げている。

 さらに、2022年の「ポートランドクラシック」で渋野日向子と同じ組でプレーしていた3日目に2番ホールで5番ユーティリティを振り抜いてホールインワン。渋野にハイタッチで祝福されたシーンを記憶している方もいるだろう。この時、日米通算8回という記録をつくったのだ。

 上原は現在40歳。体調不良で試合から遠ざかった時期もあって日米ともにシード権は失っているが海外挑戦は継続しており、今季は欧州女子ツアーや米下部のエプソンツアーでもプレーしている。その情熱には頭が下がるばかりだ。近いうちに、またどこかのツアーで上原のスコアカードに「1」の数字が記入されるかもしれない。

藤田 さいき(ふじた・さいき)

1985年11月22日生まれ、栃木県出身。2006年にプロテスト合格し、同年のプロミスレディスで初優勝。翌07年には同大会を連覇。22年大王製紙エリエールレディスで11年ぶりのツアー通算6勝を挙げた。JBS所属。

宮井善一